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広い世界の夢物語


「あ、皆の包帯替えるぞ!!怪我の具合も診察したいし」

突然声を上げたチョッパーに、皆が一瞬きょとんとする。
それから、そうだチョッパーは自分達の主治医だと思い出し、順番に診察が始まる。
いつの間にか、寝ていたはずのゾロも起きている。
包帯を替え、それぞれの傷の具合を把握したチョッパーは、最後にマルロスに振り返る。

「マルロスはどうする?」

「別の部屋を使いますか?」

さりげないチョッパーの問い掛けの意味を理解したのは、ビビだけだった。
他の仲間達は、何でわざわざ他の部屋に行くんだと疑問を浮かべ、マルロスは少し考え込んで首を振る。

「いいのか?」

「いつまでも、隠しておけることじゃないから」

苦く笑って、マルロスは服に手をかける。
その服の下に現れた身体を見た仲間が、息を呑んだ。
包帯に多少隠れてはいるが、酷い傷跡が無数にマルロスの身体に這っている。
痛々しげな表情で、チョッパーは包帯を解いて背中の傷を確かめる。
傷跡の全貌を見て、ウソップが顔をしかめて呟く。

「……ひでェ………」

「……見ていて、気分のいいものじゃないだろう?」

何処か自虐的にも思える笑みを浮かべたマルロスに、ウソップは自分の失言に口を押さえる。
マルロスの傷跡を見て、ナミ以外のクルーはチョッパーが仲間になってすぐにした健康診断の時、マルロスが部屋でやりたいと言った意味を悟った。
マルロスの綺麗な顔とは不釣り合いな、生々しい傷の跡。
斬り傷に火傷の跡、何か獣の爪で裂かれたような跡。
身体を縦横に走る酷い傷跡に、軽々しい言葉をかけるのは躊躇われた。
沈黙が流れる中、チョッパーが傷の手当てを済ませて包帯を巻き直し、マルロスは傷を隠すように手早く服を着る。



 

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