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広い世界の夢物語


「よっし、こんなもんかな」

ウソップの声に、昔を懐かしんでいた自分に苦笑いして、目を開ける。
差し出された鏡に映る自分自身を見て、マルロスは一瞬驚いた表情を浮かべ、そして笑みを浮かべた。
前髪は目にかかるくらい、そこからサイドにかけて少しずつ長くなり、全体は肩に毛先がつくかつかないか。
それは、子供の頃の髪型とよく似ていて。

「………私、ウソップに子供の頃の髪型を話したっけ?」

「ん?聞いたことねェけど……気に入らねェか?」

「ううん、そうじゃないよ。ただ、子供の頃の髪型によく似てるから」

ちょっと驚いただけ、そう言って笑うマルロスにウソップも満足げに笑い、ケープ代わりの布を外す。
辺りに散った髪の毛は、ビビが手早くホウキとチリトリで片付ける。

「あらマルロス、可愛いじゃない。似合ってるわよ」

「ありがとうございます」

男に対して可愛い、は果たして誉め言葉だろうかと内心で思いながら、マルロスはナミの言葉を好意的に受け取る。
子供っぽくはないですか、と少し不安げに問いかけたマルロスに、ナミやビビは首を振る。
少し可愛らしくはなったが、子供っぽさはない。
むしろ、マルロスの中性的な顔立ちと相まって、長い髪とは違う美しさがある。

「………何か憎たらしいわね、これだけ美人だと」

「ほんと、マルロスさんって綺麗ですよね……肌もきめ細かくてスベスベだし、髪も指通りが良くて」

羨ましい、と女性2人に言われたマルロスは、どう答えようか迷った。
どう答えても、きっとまた羨まれるんだろうなと思い、マルロスは曖昧に微笑んだ。
ちょいちょい、とナミに手招きされて近づいたマルロスは、そのまま腕を引かれてナミのベッドに腰を下ろす。

「ほんとに肌綺麗よね……何か手入れしてる?」

「いえ、普通の石鹸で洗うだけですよ」

「じゃあ髪は?同じシャンプー使ってて、何でこんなサラサラなの?」

「昔は、向こうの世界にいた頃は香油を使って手入れしてましたが、今は何もしてませんよ」

困ったように笑いながら、マルロスはナミの問いに答える。



 

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あきゅろす。
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