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広い世界の夢物語


「そういやマルロス、その髪どうしたんだ?」

ウソップの問い掛けに、マルロスは自身の頭に手をやって、クロコダイルに引き千切られたことを話す。
あの時は、目の前の戦いに集中していたから気にも止めていなかったマルロスだが、言われて初めて長い髪の左側半分が千切れていることに気付いた。
首筋が中途半端に露になり、長さがバラバラなせいで妙に首筋がチクチクする。

「ひどいことするわね、折角綺麗な長い髪だったのに」

「ほんとだな。でも、それどうすんだ?短く揃えるか?」

「そう、しようかな……このままじゃみっともないし」

一度短く揃えなければ、元のように綺麗にはならない。
随分長く伸ばしていたが、仕方がないとマルロスも諦める。

「なら、おれが切ってやるよ。おれ様は器用だからな」

「頼むよ、ウソップ」

胸を張ったウソップに、マルロスは散髪を任せる。
早速とばかりに、窓辺に椅子を用意したウソップに手招きされて、マルロスがそこに座る。
フワッ、とケープ代わりの大きな布が首回りに巻かれ、櫛で丁寧に髪をとかされる。

「んー、千切られたとこ、毛先が傷んでるな……毛先も整えると結構短くなるぞ?」

「どのくらいに?」

「肩……につくかつかないか、ってぐらい」

それはだいぶ短くなるな、とマルロスは諦める。
肩ぐらいの長さなら、子供の頃と同じくらいだろうかとふと考えて、子供っぽく見られなければいいな、と思う。
ケープ代わりの布といい、何処から取り出したのか霧吹きで髪を湿らせたウソップが、これまた何処からか取り出したハサミを指先でくるくる回す。
バランスを考えて、前髪も切るぞと言われ頷いたマルロスは、首筋にハサミが当たるのを待って目を閉じた。
ジョキッ、と髪が切れる音がして、パサッと切れた髪が床に落ちる。
鼻唄混じりに、ウソップは手際良く髪を切っていく。
後ろとサイドを整え、前髪を整える。
毛先を整える細かいハサミの音に、不意に昔を思い出す。
幼い頃は、髪を整える時はいつも父上達がやってくれた。
大人になってからは、親友達とお互いの髪を整えあった。
元気にしてるだろうか、と懐かしく思う。


 

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あきゅろす。
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