[携帯モード] [URL送信]

広い世界の夢物語
10

ビビの言葉に、周りで聞いていた兵達が騒ぎ出す。
由緒ある宮殿だとか、口々に思い止まらせようとする兵達は、国王の不在を叫ぶ。
勝手なマネは許されない、と叫ぶ兵達に囲まれて、チャカは戸惑ったようにビビを見つめる。
チャカの脳裏を過るのは、何度も説かれた国王の言葉。
同じ言葉を、ビビも説いた。
国を思う気持ちは、国王もビビも同じではないか。
国王が居ない今、王女の言葉に従うのが道理ではないか。
しばし迷った末、チャカはその場に膝をつき頭を下げる。

「おっしゃる通りに!!」

ただ黙って見守っていたマルロスも、何処か安堵したように肩の力を抜く。
同じように、ホッと息をついたビビの肩を優しく抱いて、マルロスは安心させるように微笑みを浮かべる。
マルロスのその微笑みに、ビビも強張っていた身体から一度力を抜くと、あらためて気を入れ直すように表情を引き締める。
チャカはそんなビビを見つめ、そして宮殿の守備についていた兵達を宮殿前の広場へ下ろし、幾人かの兵に爆薬の準備をさせる。
慌ただしく兵が走り回る中、マルロスとビビは宮殿から広場を見下ろす。
広場を埋める兵達は、口々に本当にやるのかと漏らす。
そんな声を遠くに聞きながら、マルロスはビビとチャカの会話にも耳を傾ける。

「この事態を、何と申し上げればよいのか……」

「いいの、わかってる。あなた達には、反乱軍を迎え撃つほかに方法はなかった。イガラムを欠いて、2年以上の暴動をよく抑えていてくれたわ」

いろいろな感情を抑えて、ビビは王女としてチャカに言葉を紡ぐ。



 

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!