広い世界の夢物語 13 グロールフィンデル達2人とバルログの戦いは熾烈を極め、時間が経つにつれどちらも傷だらけ血だらけになり、呼吸を整える暇さえない。 そんな中、グロールフィンデルが一気に片を付けるために隙をついて長剣を振り翳してバルログに踊りかかり、その胸に剣を力一杯突き立てる。 同時に、マルロスが右手に握った剣を振りきってバルログの片足を深く斬り付けると、バルログはバランスを崩して崖から落ちそうになる。 「グロール!!」 声を張り上げて、マルロスが傷付いた手を差し伸ばす。 倒れかかるバルログの胸から、突き立てた長剣を抜こうとして諦めたグロールフィンデルが飛び降りようとした瞬間、バルログが両腕を大きく振り回す。 突然のことに、グロールフィンデルもマルロスも振り回された腕を避けられず、殴られた挙げ句に大きな手に掴まれる。 「ぐ……!!」 「あぅっ!!」 きつく掴まれ、息が詰まる。 グロールフィンデルもマルロスも、バルログの手に掴まれて逃れようともがくよりも早く、視界がぐらりと揺れる。 崖を転がり落ちるバルログは、両手に掴んだ2人を離そうとはしなかったが、崖に打ち付けられた衝撃で2人がバルログの手から離れる。 それでも、グロールフィンデルの波打つ金髪を掴んだバルログは、崖に何度も身体を打ち付けながら落ちていく。 バルログの手を離れたマルロスは、崖に数回身体を打ち付けながらも途中の岩に引っ掛かり、底まで落ちるのを免れる。 [*前へ][次へ#] |