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広い世界の夢物語


豪奢な衣装に身を包み、エクセリオンが笛を奏でると大広間に集まった人々は静まり返り、その美しく朗々と響く音色に耳を傾けた。
笛の音色が変わると、それに合わせて今度はマルロスと笛を奏で、ゴンドリンに名高い2人の二重奏になる。
二重奏が数曲奏でられ、また新たに曲調が変わると同時に今度はグロールフィンデルが背の高さと手足の長さを生かして、波打つ金の髪を揺らして華やかに舞う。
美しい笛の音と、華やかな舞に人々は魅せられる。
更に曲調が変わると、今度はエクセリオンの笛に合わせグロールフィンデルとマルロスが舞を見せ、その美しく華やかな舞いに人々は魅せられる。
緩く波打つ明るい金の髪と、艶やかでストレートの黄金色の髪が舞いに合わせて揺れ、美しく響く笛の音と共に何処か幻想的な光景だった。
そして、笛を奏でていたエクセリオンの合図で楽士達が華やかで壮大な曲を奏で始めると、広間の中央に立つ3人がスラリと剣を抜く。
もちろん、舞踏用に刃が潰されて様々な見事な装飾に覆われた剣で、楽士達の奏でる曲に合わせて3人が息もピッタリな剣舞を舞い始める。
キィン、と澄んだ音をさせて剣を触れ合わせた時は、広間からわぁっと歓声が上がる。
華やかな曲調のテンポは早く、3人のタイミングが少しでもずれればぶつかってしまうのに、彼らは何処か楽しげな笑みを浮かべて舞っている。
美しい剣舞が終わると、舞いに魅入っていて静まり返った大広間に歓声が沸き起こり、彼らは揃って胸に手を当て王へ頭を下げる。
大広間の一番奥には、王とその一族が高い段の上に華やかな衣装を纏って腰を下ろしているので、その臣下たる3人は当然のように礼を取る。
中央に座す国王と、その隣には王の娘であるイドリルと彼女の夫であるトゥオルが並び、夫婦の間に幼い子供が笑顔で座っている。
礼を取り顔を上げた3人に、満面の笑顔を浮かべた幼子が椅子を蹴って段を駆け降りると、嬉しそうにマルロスに飛び付く。
幼子を抱き上げれば、その可愛らしい笑顔に3人の顔も自然と綻びる。
マルロスが抱いている幼子が、今回の笛と舞を披露するきっかけになったエアレンディルで、不思議とマルロスによく懐いていた。



 

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