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広い世界の夢物語


ドドドド……と地鳴りが遠ざかる。
反乱軍は、南門を突破するべく国王軍と戦い始め、その喧騒にビビが目を覚ます。
身体を起こせば、カルーとマルロスがずるりと転がる。

「マルロスさん、カルー……私をかばって……!?」

血だらけで倒れ、意識のないマルロスとカルーにビビは目を潤ませるが、涙を堪える。
反乱は始まってしまった。
だけど、ビビはまだ諦めていなかった。

「船でちゃんと学んだのよ!!諦めの悪さなら!!」

まだ反乱は止められる、ビビはそう信じて立ち上がろうとした時、聞き慣れた声が聞こえた。

「ビビ!!こっちに乗れ!!」

「ウソップさん!!」

振り返った先には、華麗に馬を操り現れたウソップ。
何故ここにと言う思いが過ったが、急げと急かすウソップが溢した言葉に、ビビは背筋に冷たい汗を感じた。

「そのトリはもうダメだっ!!」

ウソップが、カルーのことをそんな風に呼ぶなんて、有り得ないことだった。
だからこそ気付けた、小さな小さな間違い。
ドクンドクン、とビビの心臓が高鳴る。
ちっとも動かないビビを急かすウソップに、ビビは最後の確認を口にする。

「ウソップさん………!?証明して………!!」

それは、皆で決めた合言葉。

「おい、おれを疑うのか!?」

ほら、と差し出されたウソップの左腕には、目印の包帯。
だけど違う。
証明しろ、その言葉を合図に示す仲間の印は、それではない。
本当の"仲間の印"は、包帯の下に隠されている。
だから本物だと証明する時は、包帯を取って"印"を見せる。
そう決めていた。
やっぱり、とビビが思った次の瞬間、ビビの身体がふわりと浮き上がった。

「走れカルー!!」

「クエ――――ッ!!」

意識がないとばかり思っていたマルロスが、ビビを抱き上げてカルーの手綱を握っていた。
マルロスは、ウソップが現れる少し前に意識を取り戻し、痛みを堪えるためにじっとしていただけだった。
ウソップが現れ、作戦と違うことに気付いたマルロスは、気付かれないように様子を伺っていた。
そして、目の前のウソップが偽者だと判った瞬間に飛び起き、同時に起き上がったカルーにビビを抱いて飛び乗った。
ゾロが考えた、2段構えの印が役に立つ時がくるなんて、ビビはついそう思った。



 

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