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広い世界の夢物語


これが最後のチャンスかもしれない、とビビは思った。
反乱軍を止めるための、この国を救うための最後のチャンス。
アルバーナを目指す反乱軍の真ん前、南門の正面でカルーの背中から下りて、マントのフードを外す。
隣には、カルーとマルロス。
震えているカルーに、一緒に居なくてもいいと声をかけてやったが、カルーは首を振って動こうとしない。

「カルーも一緒に戦いたいんですよ」

緊迫した空気に似合わず、ふわりと微笑むマルロスにビビの緊張もほぐれ、つられたように小さく笑う。
踏みつけられたって知らないから、なんて冗談めいたことを言いながら、迫り来る反乱軍を見つめる。
ここで止めなきゃ、沢山の血が流れることになると思うと、少しだけ怖くなる。
それでも、反乱を止められるのは自分だけなんだと、ビビは大きく息を吸い込む。
そして大きく両腕を広げ、声を張り上げる。

「止まりなさい!!!!反乱軍!!」

反乱軍の怒声と地響きを裂いて叫ぶビビの姿を、先頭を切っていた反乱軍のリーダーのコーザが気付き、一瞬馬の手綱を緩めようとした。
その時だった、国王軍から一発の砲撃が着弾したのは。
砂煙が舞い上がり、視界を覆い隠してしまう。

「なんて馬鹿なことを……!!」

マルロスが思わずそう呟き、門の上に布陣した国王軍を睨み付ける。
もうもうと舞い上がる砂煙の向こう、反乱軍は止まらずに進んでくる。
とにかく気付いてもらおうと、ビビが必死になって声を張り上げる。
その真横を、馬に跨がったコーザが駆け抜けた。
ほんの一瞬のすれ違いに、ビビが慌ててコーザを追い掛けようと振り返った時、後に続いた反乱軍に跳ねられ倒れてしまう。

「ビビさん!!」

「クエーッ!!」

咄嗟にビビに覆い被さり、馬やラクダに踏みつけられそうなビビを庇おうとしたマルロスに、カルーが更に覆い被さる。



 

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