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広い世界の夢物語
アルバーナ

しばらく泣いていたビビが落ち着くのを待って、レインベースへの道程を確認する。
地図を指し示しながら、ビビがユバから真っ直ぐ北へ一日砂漠を歩けば、クロコダイルの居るレインベースに着くと話す。
そこは反乱とは無縁の、ギャンブルの町だと言う。
ギャンブルと聞いて、一瞬ナミの目がベリーになる。
その間も、ルフィはウソップからもらったばかりの水を守って腕をあちこちに伸ばす。
意外にも、時には我慢することが出来るらしい。

「そういや、マルロスの方はどうしてんだろうな」

ふと、思い出したようにゾロが呟く。
別行動になってほぼ一日、向こうは目的地に着いただろうか。

「ナノハナからアルバーナまでは、カルーの足でも半日はかかるから、昨夜遅くか今朝方……少なくとも、今頃はもう着いてると思うの」

「そうか。でも、マルロスは俺達がレインベースへ向かうことを知らねェだろ?ちゃんと合流出来んのか?」

「それなら大丈夫じゃない?マルロスのことだもん、こっちの動きを読むくらい出来るわよ」

根拠のないナミの言葉だが、不思議とそれで納得してしまう。
そしていざ、目的地を把握した麦わらの一味は一路レインベースを目指し、再び砂漠を歩き出す。







首都アルバーナ。
国王ネフェルタリ・コブラに謁見した護衛隊副官のチャカとペルは、国王に直訴していた。
反乱軍を何とかしなければ、国の存亡に関わると。
だがコブラは、あくまで暴動の『鎮圧』しか許さない。
この国を脅かす真の敵がはっきりするまでは、国民同士で殺し合うことを許さないコブラに、チャカとペルは引き下がる他ない。
『国』とは『人』なのだ、と何度も説くコブラの想いも判るのだが、兵士を宥めるのもそろそろ限界だった。
宮殿の回廊で、チャカとペルは行方不明のイガラムとビビのことを考える。
2年前、置き手紙だけを残して姿を消してしまった2人が居れば、ついそんなことを思う。
チャカは、2人にはきっと何か考えがあってのことだと言うけど、ペルは何の相談もせずに居なくなられて不安だった。
もう戻ってこないかもしれないというわけでなく、その身に何か起きたのではないかと言う不安だった。
そんな話をしていた時、突然飛び込んできた報せ。
何と、2年前にビビとイガラムと共に行方の知れなくなったカルーが、たった今帰ってきたと言うのだ。

「ビビ様はご一緒か!?」

報せに来た兵士に、ペルがそう問い掛ける。
しかし、兵士は困惑したように首を振る。

「そ、それが……見たことのないえらい美人が一緒で、国王様に謁見したいと……」

「国王に……?何者だ?」

「言いませんでした。ただ、国王様にお渡ししたいものがあると言うので、どうしたものかと思って」

宮殿の入り口で待たせてある、と言う兵士の言葉に、チャカはペルと顔を見合わせる。
しばし考えてから、チャカはまずは自分が逢ってみることにして、ペルには一応国王に知らせるように頼む。
回廊を歩きながら、チャカは突然帰ってきたカルーとその連れについて、黙って思考を巡らせた。
もしかしたら、ビビに何かあったのではないかと言う不安が過り、そんな不安を振り払うように頭を振る。
とにかく、その美人とやらに直に逢って問い質してみよう、そう思い直して回廊を急ぐ。



 

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