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広い世界の夢物語
レインベースへ

翌朝早く、仮眠から目覚めたルフィ達は旅支度を整え、トトに別れを告げる。
ここから再び砂漠を戻り、カトレアを目指すのだ。
別れ際、トトが一晩かけて掘り出したユバの水を、僅かながらルフィは分けてもらった。
手を振ってトトと別れ、再び砂漠の旅が始まる。
昇ったばかりの朝陽は、容赦なく照り付ける。
そんな中、まだいくらも進んでいないと言うのに、突然ルフィがその場に座り込む。
何事かと思えば、真面目な顔でやめた、と言い放つ。
急ぐ旅なんだぞ、と急かされてもルフィは立ち上がろうとはせずに、頭の後ろで手を組んで空を見上げる。
仲間の説得にも耳を貸さず、静かにビビに話し掛ける。

「おれはクロコダイルをぶっ飛ばしてェんだよ!!」

「!!」

「反乱してる奴らを止めたらよ………クロコダイルは止まるのか?その町へ着いても、おれ達は何もすることはねェ。海賊だからな、いねェ方がいいくらいだ」

核心をついたルフィの言葉に、誰も言い返せない。
ルフィの言う通り、反乱軍を止めてもクロコダイルは止まらないだろうし、カトレアの町でルフィ達海賊が歓迎されるはずもない。
判っていても、ビビは反乱軍を止めたいと思っていた。
もう誰も、こんな無意味な戦いで命を落とすことがないようにと、その一心で。
だけど、ルフィはそんなビビに言い放つ。

「"七武海"の海賊が相手で、もう100万人も暴れ出してる戦いなのに、みんな無事ならいいと思ってるんだ!!」

「………!!」

「甘いんじゃねェか」

思わず、ナミがルフィに食ってかかろうとするのをサンジが止め、成り行きを見守る。
ビビは、人が死ななきゃいいと思って何がいけないの、と言い返す。
そんなビビに、ルフィは淡々と現実を告げる。
人は死ぬぞ、と。
その言葉を聞いた瞬間、ビビは力一杯ルフィの頬を張り飛ばした。
ルフィの言う現実を、受け入れたくないと言うように、声を荒げて叫ぶ。
今それを止めようとしているんだと、必死になって叫ぶ。

「反乱軍も!!国王軍も!!この国の人達は誰も悪くないのに!!なぜ、誰かが死ななきゃならないの!?悪いのは全部、クロコダイルなのに!!」

「じゃあ何で、お前は命賭けてんだ!!」

張り倒されたルフィが、起き上がってビビを怒鳴り付け殴る。
殴り合う2人に、止めようとする仲間の声も届かない。

「この国を見りゃ、一番にやんなきゃいけねェことくらい、おれだってわかるぞ!!」

「なによっ」

「お前なんかの命一個で賭け足りるもんか!!」

「じゃあ一体、何を賭けたらいいのよ!!他に賭けられるものなんて、私何も……!!」

何もない、と言おうとしたビビの肩を掴んで、ルフィが怒鳴り付ける。

「おれ達の命くらい一緒に賭けてみろ!!仲間だろうが!!」

「…………!!」

その言葉にビビの瞳から、今まで我慢していた涙が、ポロッと零れ落ちた。
一度零れ落ちた涙は、後から後から溢れ出てくる。

「本当は、お前が一番くやしくて、あいつをブッ飛ばしてェんだ!!」

麦わら帽子の砂を払いながら、ルフィが力強く言う。

「教えろよ、クロコダイルの居場所!!」




 

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あきゅろす。
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