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広い世界の夢物語
ユバ・オアシス

陽が暮れ、ルフィ達がようやくユバに着いた時、オアシスは砂嵐に襲われていた。
しばらくの間、砂嵐が収まるまで町に入れずに砂漠に立ち尽くして待ったルフィ達は、ユバの光景に息を呑んだ。
砂に覆われた町並みは、枯れた町エルマルと大して変わりはなかった。
砂嵐により、地層が上がりオアシスが飲み込まれたのだと判ったビビは、愕然とユバの町を見回した。
誰かいないかと、町の中心部へと足を進めたルフィ達の耳に、ザクザクと砂を掘る音が聞こえた。
そこには、一人の痩せ細った男性が、スコップで砂を掘り起こしていた。
砂を掘り起こしながら、ルフィ達に宿ならたくさんあると話す男性は、ふらつきながらも砂を掘る手を止めない。
ビビは、王女だと気付かれないよう顔を隠しながら、反乱軍について男性に訊ねた。
反乱軍、と聞いた途端、男性は辺りの物を手当たり次第ルフィ達に投げ付けてから、ここにはいないと呟いた。
ユバを本拠地にしていた反乱軍は、度重なる砂嵐に飲み込まれたユバでは、反乱の持久戦もままならないと拠点を移していたのだ。
新しい反乱軍の本拠地は、カトレアという町。
どこだビビ、とルフィの問い掛けに答えるビビの声は微かに震えていて、それはナノハナのとなり町だと言う。
今朝発ったナノハナの町、そのとなり町に反乱軍の拠点が移っていたことを、2年前に国を離れたビビは知らなかった。
仕方のないこととは言え、事態が一刻を争うことなだけに、絶望感が漂いかける。
そんな中、ルフィが『ビビ』と呼んだことに男性は気付き、彼女に歩み寄る。
そして親しげに話し掛ける男性に、ビビは懐かしい面影を見出す。
トトおじさん、と久し振りに呼んだその人は、記憶の中のその人とはあまりに変わっていた。
幼馴染みの父親のトトは、昔はもっと恰幅が良く、優しい顔をしていた。
それが今は痩せ細り、頬はこけてやつれている。
それでも、国王を信じていると言う彼の涙混じりの言葉に、ビビは息を呑む。
反乱軍の体力はもう限界、次の攻撃で決着をつけるつもりだろう、死ぬ気なんだとトトは涙を流す。
反乱を止めてくれ、そう必死に訴えるトトにハンカチを差し出して、ビビは笑顔を見せる。

「反乱はきっと止めるから!」

ビビの言葉に、トトは静かに涙を流してありがとうと繰り返した。



 

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