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広い世界の夢物語


砂漠縦断のため、重い荷物と灼熱の太陽の下を歩く麦わらの一味は、アーアーとだれながらも何とか進んでいた。
そして、ユバまでまだ4分の1も進んでいない距離しか歩いていない時、岩場の影で倒れていた鳥に全員の荷物を引き摺っていたルフィが騙され、大切な食料や水を奪われてしまった。
さんざん怒られたルフィは、挙げ句の果てには荷物を奪った鳥ワルサギの姿を見つけ、後先を考えずに岩場の影を飛び出していった。
更には、サンドラ大トカゲに追われて戻ってきたルフィのトラブルメーカーぶりは留まることを知らずに、メスカルサボテンと言う幻覚剤を作るサボテンを食べて暴れだす始末だ。
チョッパーにより、麻酔で眠らされたルフィを引き摺って砂漠の旅を再開した一味とは引き換えに、マルロスとカルーは静かな旅路だった。




元々、アラバスタの動物であるカルーは砂漠の暑さに負けることもなく順調に砂丘を越え、気温の影響を受けないマルロスは汗もかかずにその背中に居た。

「………カルー、もうしばらく行った所に岩場が見える。そこで少し休もう」

「クエッ!!」

砂丘の頂上で、遠くまで見通すエルフの目に見えた遠くの岩場は、休憩するには丁度良さそうだった。
マルロスの言葉に大きく答えたカルーは、砂丘の斜面を駆け下る。
マルロスはその背中で、時折空を見上げては、太陽の位置から進む方角を確かめる。
グランドラインの海ではコンパスは役に立たないが、島に入ればきちんと使えることはビビに聞いて知っているが、マルロスには必要なかった。
アルダに居た頃は、旅路では太陽や月、星の位置で方角を確かめながら進んでいたので、コンパスがなくても問題ないのだ。
船旅はまだ不慣れでも、こんな陸地での旅には慣れたもので、乗り慣れた馬ではないがカルーの背中でも疲れた様子はない。
30分程走り続け、ようやく岩場に辿り着く。

「クエー」

「あぁ、やっぱり岩影は涼しいね………お疲れ様カルー、アルバーナまであとどれくらいか判るかい?」

「クエ、クエッ、クエー」

「ふむ、ナノハナからカルーの足でほぼ半日か……なら、まだ半分も来ていないな」

リュックから、食料と水筒を取り出してカルーと分け合いながら、マルロスは北を見つめる。
これまで走った時間と、カルーの足の速さを計算しても、首都アルバーナまでまだ遠い。
何事もなくこのペースで行ければ、アルバーナに着くのは夜遅くか明け方になるだろう、とマルロスは予測する。
軽い食事を取りながら、マルロスはルフィ達のことを考える。
何事もなく進んでいるといいのだが、そう思いながら。



 

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あきゅろす。
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