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広い世界の夢物語
涙と優しさ(夢主視点)

少しして、眠たそうなゾロの腕を引きながらルフィが戻ってきた。

「……ったく、何なんだよ」

無理矢理起こされたのか、少し機嫌が悪そうだ。
そんなゾロに、ウソップが事情を説明した途端、ゾロの目付きが変わった。
まるで獲物を見付けた狼のような、そんな射抜くような鋭い目付きと気迫に、無意識に私も力が入る。

「へェ…………強いのか?」

「……武人としてそれなりに」

腕に力を込め、ゾロが腰に下げている剣に手を添えて聞いてくるから、同じように腕に力を込めた状態で答える。
まだ剣を抜くわけにはいかず、あくまで互いに気迫を交わすだけだが、それでも充分相手の強さを計れる。
まだ年若い青年だが、その気迫は大したものだ。
これだけの気迫ならば、大抵の相手ならば圧倒されて戦意を失いかねないな、と気圧されない様に息を整える。

「面白そうだが、今は出来ねェな……刀がねェ」

ゾロの言葉に、腰に下げているのは違うのかと問い掛けると、あと2本使うのだと言う。
ならばあと2本揃えたら、彼はどれだけ強いのだろうか。
不意にそんなことを考えて、自分の考えに驚く。



こんな気持ちになるのは、随分と久し振りだ。
向こうに居た頃は、毎日のように親友と手合わせをして、競うように腕を磨いていた。
彼と剣を手に向かい合うと、どうしてかあの日々を思い出してしまう。
彼らとのあの日々が脳裏に過った途端、滴が頬を伝った。

「なっ!?」

彼の気迫が緩められ、無意識に肩から力が抜けた。
思い出してしまった。
親友を護れなかった、主君であるあの方を護れなかったあの悪夢のような夜を、思い出したら涙が溢れた。

「マルロス!?」

「ぁ……すみ、ませ……何でもない、です……っ」

必死に頬を拭いそう言い繕っても、次から次へと溢れる涙を止められなくて、心配そうな皆の顔が涙に歪む。
サンジがゾロに対して憤る声がしたが、それを止めたくても言葉にならない。
ナミさんの怒鳴り声を聞きながら、何とか涙を止めようと、俯いて必死に頬を拭う。


 

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あきゅろす。
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