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広い世界の夢物語


「マルロスさん、エルフって他には居ないんですか?」

「どうでしょう………この世界のエルフは、きっともう私だけだと思います」

「そうなんですか?」

「遥か昔、この世界が今の形になるよりもずっと以前、一度、世界そのものが滅びてしまったことがあるんです。その時に、全ての種族が滅びたと聞いていますから、きっとこの世界のエルフも絶えてしまったんだと思います」

少し寂しげに、マルロスは微かな笑みを浮かべる。

「そう…………でもマルロスさん、グランドラインは広いわ。もしかしたら一人くらい、誰にも知られずに生き残っているかもしれないわ」

「………………そうですね……もし、誰か生き延びていたら、逢ってみたいですね」

ふわりと、花が綻ぶように微笑んだマルロスにビビは思わず頬を染め、優しい碧翠色の瞳を見つめる。
不意に、マルロスのその瞳を見つめていたビビは、不思議なことに気付く。
宝石のようなマルロスの瞳が、まるで光を反射する本物の宝石のように、不思議と煌めいているのだ。

「…………マルロスさんの瞳って不思議……綺麗な輝き」

「あぁ、エルフの瞳には、星々の輝きが宿っているんですよ。その昔、エルフが目を覚ました時、空を無数に煌めく星々が鮮やかに輝いていた。その輝きは今も、エルフの瞳の中に生きてるんです」

不思議な輝きをもつ瞳を柔らかく細めて、マルロスは懐かしむようにビビに話して聞かせる。

「エルフが目覚めたのは、遠い昔のこと…………まだ、世界は闇に包まれていて太陽も月も空にはなくて、星々が瞬いていた頃のことです」

マルロスの話す遥か昔の物語を聞きながら、ビビの心からマルロスのことを疑う気持ちはなくなっていった。



 

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あきゅろす。
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