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広い世界の夢物語


ダイニングの前で、マルロスとゾロの手合わせを見ていたビビは、和やかな雰囲気になった彼らに背を向ける。
向かったのは、ナミの部屋。
念のため、今日は安静にしているようにとチョッパーに言われたナミが、突然の剣戟に驚いてビビに見てきてもらったのだ。
部屋に戻ったビビから、2人の稽古の話を聞いて納得したナミは、ふとビビに問い掛ける。

「ねぇビビ、あんたもしかして……マルロスの話、信じてないんじゃない?」

「えっ!?そ、そんなこと……」

「嘘ついても駄目よ、顔を見れば判るわ。それに無理もないことだしね」

人間とは違う種族だということも、最近まで別の世界で生きていたことも、一度命を落としたのに今生きてることも、何もかもが信じ難い話だ。
ナミだって、最初は信じられなかったのだ。
ただ、マルロスが話してくれたことに嘘がないことだけは、不思議と信じられた。
そう笑うナミに、ビビは内心では頷いていた。
ナミの言う通り、マルロスの話は途方もなくて信じられないはずなのに、何故か嘘を言っているとは思えないのだ。

「不思議な人………」

「そうね。でも、私はマルロスの言うことを今は信じてるの。だってマルロスったら、この世界じゃ子供だって判るような常識を知らないのよ?話をするのは問題ないけど、文字だって最近覚えたばかりなんだもの」

出逢ったばかりの頃は、まるで何も知らない子供のようだったと笑うナミに、ビビは少し驚いたような表情を見せる。
短い付き合いでも、ビビはこの船で常識的な人の中にマルロスも含めていただけに、ナミの言葉に驚いたのだ。

「あぁでも、もしかしたらビビとは話が合うかも。マルロスって、元々は武官として国に仕えていたみたいだから」

「国に……どんな国だったのかしら」

「恵まれた良い国だったみたいだけど、詳しいことは聞いてないわ……今はまだ、傷が深いみたいだから」

国を守るために戦って命を落としたみたいなの、とナミは苦く笑う。



 

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