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広い世界の夢物語
3(ナミ視点)

ゾロと向かい合い、緊張した空気の流れる中で突然涙を流し始めたマルロスに、思わず全員が驚いたように動きを止めた。
特に何かをしていたわけでもなく、ただゾロと向かい合っていただけなのに。

「ぁ……すみ、ませ……何でもない、です……っ」

必死な様子で頬を拭いながら、マルロスは何とかそう言ったけれど、とても何でもないとは思えなかった。
何とか涙を止めようとしているマルロスに、ルフィが心配そうに近付いて顔を覗き込む。

「オイ、てめェ、こらクソマリモヘッド!!マルロスに何しやがった!?」

「ちょっと待て!!どう考えても俺のせいじゃねェだろ!?」

「知るか!!てめェのせいだ!!」

2人のくだらない言い合いに、マルロスが少し困っているような気がして、いつまでも言い合っている2人に振り返って怒鳴る。

「うるっさい!!」

「はいっ、すみません!!」

目をハートにして、言い合いを一方的に終わらせたサンジ君は放っておいて、未だ涙を流すマルロスに近付く。
太陽に煌めく黄金色の髪が潮風に揺れ、髪留めと額飾りの宝石が燦然と輝く。
涙を流す姿さえ何処か絵になるマルロスの頭を、いきなり背伸びをしてルフィが撫で始めた。
子供をあやすような、それでいて励ますようなルフィの手にマルロスが切れ切れにありがとうと呟けば、にししっとルフィが笑う。

「にししっ、気にすんな。おれはマルロスが泣いてんのヤだからよ、一人で泣いたりすんな」

そう言って、マルロスの金色の髪を優しく撫でるルフィに、側で見ていた私達にも笑みが浮かぶ。
マルロスが泣いている理由は判らないけど、こうして側に居てあげることは出来る。
大切なものを全て失って、そして今ここに居る彼の悲しみは私達には判らないけど、これから一緒に居ることは出来る。
それが少しでもマルロスの支えになれば、そう思って、マルロスの肩にそっと手を添える。
私達は側に居る、そう伝われば良いと思って。


 

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あきゅろす。
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