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広い世界の夢物語
翌日

翌朝、マルロスがポットとカップを持ってダイニングに入るとすぐに、サンジが姿を見せた。

「おはよう、サンジ。今朝は早いな」

「あァ、昨夜仕込みしてねェからな」

欠伸を噛み殺して、腕捲りをしながらキッチンに向かったサンジは、冷蔵庫から次々と食材を取り出す。
ポットとカップを洗ったマルロスは、シャワーを浴びてくると言い置いて、ダイニングを後にする。
まだ朝日が昇り始めたばかりの時間で、ひんやりとした冬の朝独特の空気が頬を撫でる。
空気すらいつもより澄んでいるように思えて、マルロスはふと足を止めて深呼吸をひとつ。
気持ちの良い朝に、マルロスは表情を緩めながら着替えとタオルを持って、昨夜入り損ねたお風呂に向かう。





少し熱いくらいのお湯を頭から浴びて、コックを捻ってお湯を止めたマルロスは、長い髪を絞るように水気を切る。
タオルで身体の水気を拭い、別のタオルで長い髪を包む。
そのままズボンだけ履いて、マルロスが浴室の水気を払っていた時、不意に浴室の扉が開けられる。

「うぉっ、悪ィ!!」

顔を洗おうと、浴室の扉を開けたゾロは中に居た上半身裸の後ろ姿に驚いて、慌てて扉を閉める。
そんなゾロにマルロスの方も驚いて、急いで上着を羽織って扉を開ける。

「すまない、驚かせたか?」

「………マルロスか……一瞬、誰か判らんかった……」

タオルで髪を包んでいるため、いつもと雰囲気が変わっていたので、後ろ姿だけ見たゾロは一瞬ナミかビビかと思っていた。
よく見れば、華奢とはいえ筋肉もついている男っぽい体格で背も高く、冷静ならゾロもすぐに男だと判ったはずだ。
ただ、雰囲気から勘違いをしていただけに、ゾロとしては微妙に気まずい。
そんなゾロに、マルロスは首を傾げながら髪を包んでいたタオルを解いて、長い黄金色の髪を拭き始める。

「おーい、朝飯だってよ」

倉庫の扉が開いて、顔を覗かせたウソップが声を掛ける。
すぐに行くと答えて、マルロスはまだ少し濡れている髪を手櫛で整えて、顔を洗っているゾロに声を掛けてダイニングに向かう。


 

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あきゅろす。
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