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広い世界の夢物語
宴の後

「あぁもう、ほら。ルフィ、ウソップ、チョッパー。こんな所で寝たら風邪を引きますよ」

深夜になってお開きとなり、甲板で酔い潰れた3人を起こそうと、マルロスはそれぞれの肩を揺らす。
ナミとビビは先に部屋に戻っていて、後片付けをするマルロスとサンジにまだ飲んでいるゾロが残っている。
気持ち良さそうに、意味のない寝言をむにゃむにゃとぼやきながら起きる様子のないルフィとウソップとチョッパーに、マルロスは困りきってしまう。

「マルロス、そいつらはおれが部屋に運んどくか?」

「あぁ、頼むよ」

最後の一杯を飲み干して、困りきったマルロスを見ていたゾロがそう声を掛けると、マルロスが頷く。
マルロスが洗い物の食器を重ねて持ち、ゾロが両肩に酔い潰れた2人を担ぎチョッパーを上に重ねる。

「ん?今日の不寝番って、確かウソップじゃなかったか?」

「そう言えば………いや、いいよ。私が起きてるから」

「そうか」

「おやすみ、ゾロ」

食器を手に、ダイニングに消えたマルロスの背中を見送ってから、ゾロもまた男部屋に下りていく。

「サンジ、洗い物はこれで最後だ」

「おぅ、サンキュ」

ガチャガチャと、山積みの食器を手際よく洗うサンジに残りの食器を渡して、マルロスは洗い終わった食器を布巾で拭いていく。
見張りのこと以外、特に言葉を交わすことなく流れ作業であっという間に食器を片付けると、サンジがお湯を沸かす。
食器棚からポットとカップ、紅茶の茶葉を取り出し、マルロスは見張りの間に飲む暖かいお茶の用意を済ませると、お湯が沸くのを待つサンジの背中を見遣る。
ぷかぷかと紫煙を吐きながら、いつもと同じように見えるその背中に、ふと違和感のようなものを感じた。
何だろう、と考えるマルロスには気付いていないのか、お湯が沸くとすぐにサンジはコンロの火を止める。
マルロスから茶葉を受け取り、暖かな紅茶を淹れながらサンジが問い掛ける。

「ほんとにいいのか?見張り、任せちまって」

「あぁ、構わないよ。サンジも怪我をしてるんだから、今日はもう休んだ方がいい」

「…………判った」

紅茶の入ったポットとカップを受け取り、マルロスは気付かれないように首を傾げる。
ついさっきも感じた違和感を、また感じ取ったのだが、その正体が判らない。
ダイニングを出て、サンジの男部屋に下りていく背中におやすみと声を掛けて、見張り台へと上る。



 

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