広い世界の夢物語
剣士(夢主視点)
船内を見回った後、ルフィとウソップに連れられて甲板に出てくると、穏やかな海風が頬を撫でた。
心地好い風に目を細め、遠くまで広がる海を眺める。
「そう言えば、マルロスって剣士なのか?」
「えぇ、そうですね。向こうでは武官を務めていましたので、それなりに剣は使えますよ」
腰に下げた剣の柄を撫で、顔を覗き込んでくる2人に答える。
剣士と言えるかは判らないが、一国を護る武官の一人であったこともあり、親友と剣の腕を競い合うように磨いたものだ。
そんな話をすると、2人は益々興味を引かれたように目を輝かせる。
「なァおいルフィ、じゃあゾロとマルロスとどっちが強いと思う?」
「ん〜………マルロスも強そうだけど、でもゾロは三刀流だからなァ……ムツカシイぞ!!」
2人で顔を見合わせ、どちらが強いかと相談を始めてしまい、当事者の私は放っておかれる。
どうしたものか、と相談の終わらない2人を眺めていたら、ラウンジからナミさんとサンジが出てきた。
困ったようにそちらを見れば、気付いたナミさん達がこちらへと向かってくる。
「今度はどうしたの?」
少し呆れたように、苦笑いを浮かべながらナミにさん問われ、簡単に説明をする。
話を聞いて、サンジまで興味深そうにルフィ達の話に混じり、ナミさんと私が残される。
「…………そう言えば、私もひとつ気になってるんだけど」
「はい、何でしょう?」
「エルフには基本的に死はないんでしょう?それなら、マルロスは一体どれくらい生きてるわけ?」
「つまり、私の年齢ですか?」
そう、と頷くナミさんに、私は少し考えて首を振る。
私自身、自分がいつ産まれたのかを知らないし、一番初めの太陽が昇るまでは一日の感覚さえ曖昧だったせいで、どれだけ生きているのか判らないのだ。
苦笑を浮かべながらナミさんにそう説明すると、驚いたような表情で私を見上げる。
いつの間にか、話し合っていた3人も私の話を聞いていたらしく、ナミさんと同じように驚いた表情を浮かべている。
「……じゃあ、大体で良いから何年くらい?」
改めてナミさんに問われ、さて何年くらいだろうと考える。
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