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広い世界の夢物語


「……じゃあ、一体どういうこと?この国は滅んだのに"王"は健在で、しかも海賊になっているなんて!!」

ビビの疑問に、ドルトンは苦々しい表情で答える。
海賊は一時のカモフラージュ、ドラム島へ帰り着こうと海をさ迷っているに過ぎない、と。
そうだとしたら、彼らはこの国を滅ぼした海賊に敗れ島を追い出されたのかと思えば、信じられないことに戦おうとすらせずに国を捨てたと言う。

「それが一国の王のやることなの!?」

「ビビ……」

「ひどすぎる!!そんなの……王が国民を見捨てるなんて」

両手を握り締め、きつい眼差しで前を見据えたまま吐き出された言葉に、ウソップは何も言えなかった。
一国を背負う王女に、軽々しい言葉など掛けられない。
ただ、かつて王に仕え国のために戦っていたマルロスは、無言でビビの肩を抱き寄せた。
ビビの想いを理解出来るのは、きっとマルロスだけなんだろうなと、ぼんやりウソップは考えた。

「………だが、とにかく、もうワポルの悪政は終わった。この島は、もう残った国民達のものだ……!!」

町村の復興も順調に進み、 新しい国を作ろうと団結している島民達が恐れるのは、ワポルが帰還すること。
王政の復古だけは避けねばならん、とドルトンは降りしきる雪の中で呟くように、だけど深い決意を秘めて言う。
新しく平和な国を築くために、彼は誰よりも苦心しているのだろう、とマルロスは白い息を吐き出しながら思う。


 

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