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広い世界の夢物語


「ところでよ、ひとつ確認しときてェんだが……」

「はい、何でしょう?」

サンジの問い掛けに、マルロスが僅かに首を傾けて問い返すとサンジは言いにくそうに、煙草の煙を吐きながら呟くように問う。

「マルロスって、やっぱ男……だよ、な?」

「え?えぇ、そうですが?」

「…………そうだよなァ、そうに決まってるよなァ……」

マルロスの答えに、ショックを受けたらしいサンジはそうぼやきながら、冷めてしまった紅茶を新しく用意するために立ち上がる。
心なしか、その背中に哀愁らしきものが漂っているのを見て取り、マルロスが困ったようにナミへ振り返る。

「気にしないで、いつもの病気みたいなものだから」

「はぁ……?」

よく判っていないのか、きょとんとした表情で取り敢えず頷いたマルロスに、ナミは軽く肩を竦めて苦笑いを見せる。
マルロスはどうやら、自分自身のことをよく理解していないみたいだ、とナミは思った。
長く美しい黄金色の髪に、鮮やかな碧翠色の瞳に少し厚めの薄紅色をした唇に、すっきりとした鼻筋と華奢な印象の輪郭。
瞳を縁取る金の長い睫毛と、低くもなく高くもない声音のせいもあり、何処か女性的な印象さえ漂わせているマルロスを、サンジはもしかしたら女性ではと思ったのだろう。
背格好を見れば男性に見えるのに、とナミは軽く溜め息を吐き出す。
神に似せて造られたエルフと言う種族は、誰も彼もがこうも美しいのだろうか。
そう考えて、ナミは少し嫉妬にも似た感情を覚えたが、馬鹿らしいと胸中で笑った。
もしそうだとしても、マルロスに嫉妬したって何の意味もないのだ。
そんな下らないことを考える暇があったら、これからの航海のことを考えた方がずっと有益であると結論付けて、ナミはマルロスに懐くルフィを眺める。


 

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