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広い世界の夢物語
ドラム王国

「……昔はね……ちゃんといたんだよ」

「え?」

「医者さ……理由あって全員いなくなってしまったんだ……」

ぽつりと、呟くように紡がれたドルトンの言葉を、3人は静かに聞いた。
一年にも満たない数ヵ月前に、この国は海賊の手により、一度滅びたという。
そのせいで、今だ過敏に海賊に反応してしまう島民達に、マルロスは船で感じた違和感の意味を知る。
たった5人の海賊団に国を滅ぼされ、それで良かった言う島民も居るとドルトンが言えば、ビビもウソップも表情を変える。
自分の暮らす国が滅ぼされて良かったなんて、普通に考えて思うはずがないのに。
だが、ドルトンは苦い表情のまま言葉を続ける。

「……………それまでのこの国の"王政"が、国民にとって悲惨なものだったからだ……元あったこの国の名は『ドラム王国』……王の名は『ワポル』!!最低の国王だった……!!」

ドルトンの言葉に、ビビが何かを思い出したらしい。
だがマルロスとウソップは、つい昨日のことを思い出す。
確か、昨日メリー号を襲撃してきたあのアホな海賊団の船長の名が、ドルトンの言う国王と同じ名だったはず。
あれが元国王とは、マルロスは信じられないとばかりに溜め息をひとつ吐き、ウソップと顔を見合わせる。

「君達……!!ワポルを知っているのか!?」

ドルトンの問い掛けに、腕を組んでウソップが頷く。
ビビも、かつて父に連れられて行った王達の会議で会ったことがあることを思い出し、間違いないと頷く。
ビビが言う王達の会議、という単語にドルトンは疑問を投げ掛けたがビビは曖昧にはぐらかして、ワポルに昨日会ったことを伝える。


 

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あきゅろす。
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