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広い世界の夢物語
魔女

この国に名前はまだないと、ドルトンと名乗ったリーダーの男が言う。
名前のない国なんておかしな話だ、とビビとウソップがドルトンに問い掛ける。
ドルトンは詳しい事情を言おうとしないが、マルロスはその表情から何かあったと推測して、深い追求を避ける。
途中、ハイキングベアと擦れ違い辿り着いた村ビッグホーンには、人々の活気が溢れていた。
心配げな住人達、民間人で構成された護衛団を説き伏せ、ドルトンは自宅に案内してくれた。
ベッドにナミを寝かせ、暖炉に火を強くする。
少し冷えていた室内が、徐々に暖まっていくのを待たずに、ルフィとウソップは再び外へ出ていく。
そんな2人を見送り、マルロスは暖炉から離れた窓辺に静かに佇み、ドルトンと話すビビとサンジを見つめる。
42度を越えた体温に、ドルトンも焦りの表情を見せる。

「何でもいいから医者が要るんだ、その"魔女"ってのはどこにいんだよ!!」

「"魔女"か………窓の外に……山が見えるだろう……!?」

「ああ…あのやけに高い…」

「……っ!!」

ドルトンの言葉に、窓に振り向いたマルロスは目の前にあるそれに驚き、思わず一歩下がる。
どーん、と窓いっぱいに迫る大きな顔らしきそれは、ルフィが作った巨大雪だるま。
よくよく見れば、その隣にはウソップが作った巨大な雪の怪獣もあり、それを見たサンジが怒鳴る。
そして、足音も荒く外へ飛び出したサンジがルフィとウソップを言葉通りぶっ飛ばし、視界を遮る雪だるまを蹴り壊す。
ジャケットの襟首を掴み、2人を引き摺って戻ってきたサンジは暖炉の前に2人を放り出し、ドルトンに話の続きを促す。




窓の外に見えるドラムロッキーと呼ばれる、高く連なる山々の中で一番高い山の頂上に、魔女が住むと言う城がある。
通信手段もなく、魔女は気まぐれに山を下りてきては患者を探して治療を施し、報酬にありったけの物を持っていく。
140歳近い高齢だと言う魔女の所業に、まるで海賊だなと海賊船の船長であるルフィが、お茶を飲みながらぼやく。
魔女と呼ばれるゆえんは、月夜の晩にそりに乗って空をかけ降りてくる所を見た者が居ると言う、何とも妙な噂らしい。
そして、奇妙な生き物と一緒にいたと言う噂もあるらしく、ウソップが雪男だと騒ぐ。
唯一の医者とは言え、あまり関わり合いになりたくはないと言うドルトンは、魔女が次に山を下りてくるのを待つしか手段はないと締め括るが、こちらは一刻を争う事態だ。


 

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