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広い世界の夢物語


結局、ゾロとカルーに船番を任せることに決まり、ナミを背負うサンジを先頭に村へ向かうことになる。
深い雪を踏み締めて、木々の間を抜けて進む。
真っ白い世界は幻想的で、マルロスは故国の冬を思い出す。

「あれ?なぁなぁ、マルロス」

「どうしました?」

出発に際して、紫暗色のマントを羽織ってきたマルロスのその裾を、首を傾げたルフィが引っ張る。
半ズボンのままの素足が、雪を掻き分けて歩く様は見ている方が寒くなるが、ルフィは気にした様子もない。

「何かさ、マルロスがいつもよりでかく見えるけど、気のせいか?」

「そうですか?」

ルフィの素朴な疑問に、マルロスは首を傾げる。
別に、いきなり身長は伸びたりしていないはずだ、と自分の身体を見下ろす。
そんなマルロスを見て、ビビがふと違和感に気が付く。
誰も彼も膝の辺りまで雪に埋まり、掻き分けながら歩いていると言うのに、マルロスの足は雪の上にあるのだ。

「………浮いてるの?」

一瞬、そう思ってしまう程、ビビには衝撃的だった。
厚く降り積もった雪の上を、殆んど足跡さえ残さずに歩いているマルロスは、まるで浮いているようで。
ビビの呟きに、マルロスは自分の足元を見下ろして、それから思い出したように笑う。

「エルフの身体は自然そのものと同じなんです」

「よく判んねぇけど、そうゆうもんなんか?エルフって」

「えぇ」

ウソップの言葉に頷き、マルロスは当たり前のように笑う。
端から見れば、何とも奇妙な光景である。
だが、マルロスがそうゆうものだと言うのだから、そうゆうものなのだろうと思ってしまう。
結局、ルフィのおもしれぇな、の一言で片付いてしまう。



 

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