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広い世界の夢物語


今ここで争っては駄目だ、と言葉を続けようとしたマルロスが口を開くより先に、銃声が轟いた。
サンジに睨まれ、その視線の鋭さに怯えた男の手が、銃の引き金を引いたのだ。

「マルロス!!」

ぐらりと傾いて、力なく倒れていくマルロスを呼ぶルフィの声が響き、サンジが驚きに目を見張る。
どさっ、と倒れたマルロスの身体は動かず、サンジの胸を何かが激しく揺り動かす。

「お前らあ!!」

「構えろォ!!」

憤り、今にも飛び掛かろうとしたルフィに、倒れたマルロスが飛び起きる。

「待てルフィ!!戦えばいいってものじゃない!!」

甲板に膝をついたまま、ルフィの腰に腕を回して抑え込んだマルロスは、傷なら平気だと声を荒げる。
そんなマルロスに、今にも戦おうとしていたクルー達も武器を押さえ、マルロスをじっと見つめる。
そんな中、ビビがマルロスの傍らに膝をつくと、そのまま土下座する。

「だったら……上陸はしませんから……!!医師を呼んで頂けませんか!!仲間が重病で苦しんでます、助けてください!!」

「お願いします」

王女であるビビに続き、今撃たれたばかりのマルロスまでが頭を下げる。
何故そんなことをするのか、ルフィが判らないと言いたげに2人の名前を呼べば、マルロスが静かに言葉を紡ぐ。

「船長失格だ、ルフィ……無茶をしても全てが片づくとは限らない、力では解決しないこともある…………今、必要なことは何だ?」

「そうよ、ルフィさん……このケンカを買ったら……ナミさんはどうなるの?」

マルロスの肩から、血が甲板に滴り落ちる。
長い髪の向こうで、マルロスは真っ直ぐに甲板を見ている。
その表情はまるで、ルフィなら判るだろうと問い掛けているようで。

「……うん、ごめん!!おれ、間違ってた!!」

マルロスとビビが言いたいことを、本当に伝えたいことを理解したルフィは、2人と並んで頭を下げる。

「医者を呼んでください、仲間を助けてください」

ゴツン、と音がする程、ルフィは勢いよく頭を下げる。
そんな海賊達を見て、住人達は静まり返る。
どうするべきか考えて、そして彼らのリーダーらしい男がゆっくりと口を開く。

「村へ……案内しよう。ついて来たまえ」

その言葉に、クルー達は川岸の彼らを見上げる。

「ね、わかってくれた」

「うん、お前らすげェな」

ビビの笑みに、心底感心したようなルフィの言葉を聞いて、マルロスは何でもないように小さく笑う。


 

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