広い世界の夢物語
上陸
川を内陸へと進んで、雪解け水の滝の側に停泊させる。
クルー全員が甲板に集まり、誰が医者を探しに行くのかを話し合おうとした時、川岸から声が掛けられた。
「そこまでだ、海賊ども」
川の両岸を、それぞれ武器を携えた大勢の人が埋め、敵意が向けられる。
医者はともかく、ひとまず人が居ることは判ったけれど、ヤバそうな雰囲気だ。
ぴりぴりとした緊張感と、向けられる明らかな敵意。
「速やかにここから立ち去りたまえ」
「おれ達、医者を探しに来たんだ!!」
略奪が目的ではない、病人を診てもらいたいだけだとルフィとビビが声を上げるが、住人だろう彼らは聞き入れてくれない。
次々に、声を荒げて出ていけと怒鳴る住人達に、マルロスは密かに眉を寄せる。
海賊だから嫌われるのは仕方ないが、いささか過敏すぎる反応のように感じたのだが、口を閉ざして状況を見守る。
「おーおー……ひどく嫌われてんなァ……初対面だってのに」
紫煙を吐き出しながら、サンジが呑気にぼやく。
それが気に入らなかったのか、住人の一人が、サンジの足元目掛けて銃を放つ。
当たりはしなかったが、それがサンジを怒らせた。
ギロッと、銃を放った男を睨み付けたサンジが、やりかえそうと一歩踏み出す。
「てめェ!!」
「待てサンジ!!」
がしっ、とサンジの肩を押さえて止めようとしたのは、成り行きを見守っていたマルロスだった。
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