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広い世界の夢物語


翌日は、看病する者と見張りに立つ者が入れ替わり、寒空の下を進む。
昨日、ワポルとか言う変な海賊達に襲われて破損した箇所を直すウソップを手伝いながら、マルロスは周囲に目を配る。
見える範囲に島影はない。

「ここんとこ、どうも安定して寒くねェか?」

見張り台からサンジが言えば、ウソップは適当に気まぐれな海なんだろうなと答えるが、ビビが異を唱える。
近くに"冬島"がある、と言うビビが、グランドラインの島々について話す。
何でも、グランドラインの島々は気象学的に4種類の島に分けることが出来て、さらにそれぞれに大体の四季があるらしい。
夏島の夏から冬島の冬まで、例外の気候を除いて全部で16段階の季節が折り重なるために、間に挟まれた海は正常でいられないそうだ。
だから、気候が安定することは島が近いことを意味すると教えてくれたビビの言葉通り、サンジが島を見つける。
船縁から身を乗り出し、まだ遠い島影を見遣るマルロスは、その白い島影に驚く。
雪に覆われているのだろう、と冬島と言う呼び名から考える。
船室から飛び出してきたルフィが、嬉しそうに島影を見つめている背中に、サンジが冒険してるヒマはねェと注意する。
だが、雪に気を取られているらしいルフィには聞こえていないようだ、と諦める。




内陸へ続く川に入り、一面銀世界の島にルフィが嬉しそうに目を輝かせるが、その格好は見ているだけで寒い。
皆に散々言われて、初めて外気の冷たさに気付いて身体を震わせるルフィに、マルロスが暖かいジャケットを羽織らせる。

「お、マルロス、ありがとな」

「どういたしまして」

にっこり笑うマルロスだが、その格好は他のクルーに比べて随分と薄着だ。
ハイネックのシャツにベスト、その上に黒のコートを着ただけの格好に、ウソップが寒くねェのかと訊ねる。

「言ってなかったか?エルフは暑さや寒さといった、気温の影響をほとんど受けない身体なんだ」

「そうなのか?便利だな」

「…………エルフ?」

感心したようなウソップに反して、ビビが初めて聞いた単語に首を傾げる。
そう言えば、ビビにはまだ何も話していないんだと言うことを思い出し、マルロスは苦笑いを浮かべる。

「今度、時間のある時に話しますね」

「え、えぇ」

取り敢えず、今はナミを医者に診てもらうことが最優先だと、マルロスの言葉にビビもひとまず頷く。


 

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