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広い世界の夢物語


ふらつきながら、ナミが不意に表情を変えたことに気付いたマルロスは、階段を上ってナミの傍らに佇む。

「空気が……変わった……」

「空気?ずっと変わらねェ晴天だぞ」

「いや……確かに変わった……ゾロ、皆を呼んでくれ」

ナミの傍らで、マルロスもナミと同じ変化に気付く。
それは、自然と共に生きてきたエルフの鋭い感覚が告げた、小さな危険信号。
何が起こるかは判らないが、船の進路を変えるべきだと空気から感じ取り、マルロスはふらつくナミを支えながらゾロに告げる。
舵を南へ、とナミが呟くように言ったのを聞いてマルロスが頷き、ゾロも首を傾げながらもひとまず頷く。

「おい、てめェら出て来い!!仕事だ!!南へいっぱい舵をとる」

ゾロの号令に、飛び出してきたクルーが持ち場に走る。
サンジが何事かと問うても、ナミにもこれから何が起こるのかまでは、はっきりとは感じ取れていなかった。
初めて感じる空気に、ナミも戸惑っていた。
それでも、同じように空気の変化を感じ取ったマルロスが肩を支えていることが、ひどく安心出来た。
ルフィが額に手を遣り、熱いと騒ぎ立てても、ウソップが心配げに声を掛けても、ナミは船室に戻ろうとはしない。
少しずつ近付いてくる、大きな風の気配。


 

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あきゅろす。
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