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広い世界の夢物語


ベッドにナミを横たえ、水で濡らしたタオルを額に乗せる。
頬は赤らみ、呼吸は浅く早い。
ただの風邪とも違う症状に、サンジが涙を流す。
ビビが、気候の変化による発病の可能性を示すが、この船には医者が居ない。
唯一、医学を少しでもかじっているのは倒れたナミだけで、他には誰も居ない。
肉を食えば病気は治るさ、とルフィは楽観的に言ってのけたけれど、事態はそんなに楽観視出来る状況ではない。
サンジに作れるのは、あくまで『看護』の領域である病人食までで、治療は出来ない。
普段の栄養摂取に関しては、サンジがきっちりと管理しているから心配ないが、病人食となれば話は別だ。
医者の診断に基づいて、必要な栄養を補う食事を作らなければならないが、今この場に診断の出来る者は居ない。
ナミの体温は、既に40度にも達している。
これ以上体温が上がれば、身体がもたない。
ルフィが、呑気に首を傾げて病気ってそんなに辛いのか、と仲間に問い掛ける。
だが、ウソップもサンジも病気になったことがないらしいし、マルロスは元々病気にならないエルフだ。
生憎と、その場に居る半数以上が病気の辛さを知らない。

「40度の高熱なんて……!!そうそう出るもじゃないわ!!もしかしたら、命に関わる病気かも知れない……!!」

ビビの言葉に、事態の深刻さをようやく理解したルフィ達が大声で騒ぎ始める。
静かにして、とたしなめるビビの声も聞こえていないのか、ルフィは医者を探すぞと声を張り上げる。
あまりの騒々しさに、マルロスは咄嗟にルフィの口を塞ぐ。
その時、ナミが静かに起き上がる。

「私のデスクの引き出しに、新聞があるでしょ……?」

ナミが言うように、デスクの引き出しにまるで隠すように新聞がしまわれていて、ビビにそれを見るようにナミが言う。


 

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