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広い世界の夢物語






「………で、どういうこと?」

腰に手を当て、オレンジ色の髪をした少女が問う。
いつもより早く起こされたせいで、やたらと不機嫌そうなナミがルフィに向けて問い掛けた。
当然のように、ルフィが先程サンジに言ったように新しい仲間だと紹介すれば、やはり困ったようにマルロスは首を傾げる。
マルロスが判ってないうちに、何故だか話がどんどん進んでいるようで、ナミはマルロスを放ってルフィに事の経緯を説明させている。
ぽつん、と置き去りにされていたマルロスの前に、ティーカップが差し出される。

「あ、ありがとうございます」

顔を上げれば、くわえ煙草のサンジが口元に笑みを浮かべている。
どうやら、朝食の準備をする片手間に置き去りにされていたマルロスのために、わざわざ紅茶を用意してくれたようだ。

「………美味しい」

一口飲んで、ぽつりと呟いたマルロスの言葉に満足そうに頷いて、サンジは再び朝食の準備に戻った。
香りの良い紅茶を、マルロスは静かに楽しむ。

「なぁマルロス、おれ達の仲間になるだろ?」

「……え?」

紅茶に気を取られ、反応が遅れたマルロスが顔を覗き込んできたルフィを見ると、とてつもなく嬉しそうな笑顔を浮かべている。
話を聞いていなかったマルロスは、頭の中でもう一度ルフィの言葉を反復して、困ったような笑みを浮かべる。

「……イヤか?」

マルロスの表情に、ルフィは途端にしゅんとする。
そんなルフィに、マルロスは更に困った表情を浮かべる。
仲間になるのが嫌なのか、そう問われれば、マルロスは違うと答えられる。
ただ、話さなければならない自分自身のことが、頷くのを躊躇わせていた。

「何か理由があるのね?」

ナミの問い掛けに、マルロスは曖昧に頷く。
それを見て、ナミは一度クルー全員を集めてから話し合った方が良いと判断し、話の続きを朝食後に決定する。

「んじゃルフィ、もうすぐ飯になるから他のヤツら起こしてこい」

サンジの言葉に、ルフィがひとつ頷いてラウンジを飛び出していき、ナミが代わりにマルロスの隣に腰掛ける。


 

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