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広い世界の夢物語


ジャングルを抜け、湖の畔に出たマルロスは、草むらの中で背伸びをひとつ。
やはり木々に囲まれていると落ち着く、などと呑気なことを考えながら澄んだ湖に近づいて、その冷たい水に手を浸す。
あまり大きくはない湖に、魚の泳ぐ姿を見つける。

「ふぅ…………少し蒸し暑いけど、なかなか良い島だな」

この湖に着くまでに、ジャングルの中を歩いてきてマルロスはそう感じていた。
鳥や動物の姿も多く、人の手が入っていない原始の森なのだろうと考えながら、マルロスは篭の中を覗く。
いくらかの果物は採ったが、これぐらいでは足しにもならないだろう。
水辺の近くならば、また違った果物でもあるだろうかと立ち上がり、辺りを見回す。

「…………あれなんか良さそうだな」

対岸に、木苺に似た果実の群生を見つけて、湖を迂回してそちらへ向かう。
近くで見ると、マルロスが知る木苺よりも随分と大振りな実をしているが、赤く色付いてよく熟している。
試しにひとつ口にすれば、程好い甘酸っぱさが広がる。

「木苺ならやはりジャムかな、菓子にも使えるし」

普段の食事の役に立つかは判らないが、ないよりマシだろう。
何より、2人がかりで肉を狩ってくるつもりらしいから、少しぐらいは果物もなければ。
果たして、ゾロとサンジはどれだけの大きさの獲物を狩ってくるだろう。
手際よく木苺を摘みながら、マルロスはそんなことを考える。

 

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あきゅろす。
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