広い世界の夢物語
2
「こ……この島には上陸しないことに決定っ!!」
「……船の上で、ログがたまるのを静かに待って……!!一刻も早く、この島を出ましょ……!!は……早くアラバスタへ行かなきゃね」
それが一番安全だと、ナミとウソップが判断したまでは良かった。
しかし、船長は違った。
黙ってジャングルを見つめていたかと思うと、楽しげな声でサンジを呼ぶ。
「サンジ!!弁当っ!!」
「弁当ォっ!?」
「ああ!!海賊弁当!!冒険のにおいがするっ!!」
満面の笑みを浮かべ、ルフィは既にうきうきしている。
慌てたナミが引き止めようとするが、あまりにイキイキとしたルフィは止まらない。
早く弁当っ、とサンジを急かしている。
「………………ねェ!!私も一緒に行っていい!?」
思いがけないビビの言葉に、ナミが驚く。
じっとしていたら考え込みそうだから気晴らしに、と言う王女様の発言に、ナミは返す言葉もない。
カルーがいるから大丈夫、とビビは笑うが、カルー本人は言葉にならないくらい驚いてる。
そんなクルー達の様子を眺めながら、マルロスは何やら考え込んでいた。
おおよそで戻ってくるから、と言い置いて、ビビとルフィの2人はジャングルに消える。
その姿を見送って、ウソップとナミがしみじみと呟く。
「度胸あるな、ミス・ウェンズデー」
「さすが、敵の会社に潜入するだけあるわ」
信じられない、とも言いたげな2人に、ゾロも呑気に散歩してくると言い出す。
そんなゾロにサンジが、食糧が足りないから食えそうな獣がいたら狩ってきてくれ、と船の上から声をかける。
「ああわかった、お前じゃとうてい仕留められそうにねェヤツを狩ってきてやるよ」
「待てコラァ!!」
挑発的なゾロの言葉が、サンジの逆鱗に触れる。
「聞き捨てならねェ………!!てめェが、おれよりデケェ獲物を狩って来れるだと……!?」
「当然だろ!!」
「狩り勝負だ!!」
どっちがより大きな獲物を狩って来れるか、訳の判らない理由で勝負を始めた2人に、ウソップとナミが涙を流す。
そんな2人に、今度はマルロスが爆弾を投下する。
「じゃあ、私も少し散歩してきますね。ついでに、食べられそうな果物でも採ってきます」
「えぇ!?」
穏やかな笑みを浮かべ、篭を片手に船から岸へ飛び降りたマルロスは、ナミとウソップが止めるより早く歩き出す。
その背中を、2人は唖然と見送る。
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