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広い世界の夢物語
イルカ

改めて、それぞれに着替えて朝食を終えてから、事情を知らない2人に説明がされる。
それを聞いて、サンジとウソップの反応は両極端だった。

「はァ……そりゃ惜しいことをしたが……まだおれにも活躍の場は残ってるわけだ。大丈夫!!この眠れる騎士が目覚めたからには、君の安全は保障する」

「は〜〜〜〜っ、寝ててよかった〜〜〜〜っ」

2人の反応に、マルロスは密かに笑みを浮かべる。
どう思うのも自由だが、ここまで極端だと面白くもある。
潮風に黄金の髪を揺らし、マルロスはクルーを眺める。
手配書を取り出したウソップなどは、ルフィの写真の隅に写り込んだ自身の後頭部を指差し、ビビに何やら自慢している。
ルフィは、また雪が降らないのかと期待している。
聞かれたビビが、グランドラインについて話し始める。

「降らないこともないけど、一本目のあの海は特別なのよ。リヴァースマウンテンから出る7本の磁力が、全てを狂わせていたから」

だからと言って油断しないように、と後を続けたビビの話を、誰も聞いていなかった。
否、ナミとマルロスは聞いていたけれど、その手にはサンジのスペシャルドリンクがある。
リラックスムード全開の連中を指差し、ビビが怒鳴る。

「いいの!?こんなんで!!」

「いいんじゃない?シケでも来たらちゃんと働くわよ、あいつらだって……死にたくはないもんね。はい、あんたの」

ビビの分のスペシャルドリンクを手渡し、ナミは呑気に騒ぐクルーを眺める。
その傍らのマルロスも、潮風に揺れる髪を押さえながらドリンクを飲んで、のんびりと寛ぐように手摺に浅く腰かける。
ドリンクを受け取り、クルー達のあまりの気楽さに怒る気も削がれたビビが、気が抜けるとぼやく。
それを聞いたナミは、笑顔で言葉を返す。

「悩む気も失せるでしょ、こんな船じゃ」

「……ええ、ずいぶん楽……」

気を張っていても疲れるだけ、思い悩んでも船の速度は変わらない。
ならば、少しぐらい肩の力を抜いても良いだろうと思わせるには、充分な雰囲気だった。

「おい、みんな見ろよ!イルカだぜ」

サンジの言葉に、全員の視線が海に集まる。
波と戯れるように泳いでいたイルカが、水飛沫を上げて水面に飛び上がる。
その姿を見上げ、一同沈黙。
そして一斉に怒鳴る。

「デカイわ―――――っ!!」

メリー号の十倍は軽くありそうなイルカに、何処か楽しげな船長の号令が飛ぶ。

「逃げろ――っ!!」

「ほいきたキャプテン!!」

ついさっきまでのだらけたムードは一転、ぱっとそれぞれの持ち場についた麦わら海賊団は、息もぴったりに船を操る。
ビビとカルーも手伝おうと、クルーに混ざって走り回る。
ナミの指示に従い、メリー号はイルカが海に飛び込んで生まれた大波を乗り越え、次の島を目指して走る。




 

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あきゅろす。
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