ごった煮な部屋
拍手23(長編夢・たどり着いた場所は/翔)
【たどり着いた場所は】
「翔ちゃんはさ、本当にあの人のこと好きだよね」
「な、何言ってんだよ薫!」
すぐさま反論したけど、あの人とはもちろんアイツを指しているんだろう。
「あれ、違うの?」
でもこの双子の弟、薫には少なくとも口で勝てる気はしない。
「違わねぇ、けどよ...薫だって最初あんまり雪哉のこと気に入ってなさそうだったし、良いのかよ」
「だって、翔ちゃんが騙されてないか気になって」
薫は、やたら心配性で。騙されているなんてどこから思ったのかは分からねぇけど。
「でも、雪哉さん良い人だったけどね。杞憂だった」
「な。つーか薫、お前あの後結構雪哉と出掛けてただろ。お前も、雪哉のこと好きになったんじゃねぇの」
そう指摘したら、薫は笑った。
「そうだって言ったらどうする?」
「うっ...でもそれについては何も言えねぇよ。アイツが薫を選ぶなら、俺は良いと思うぜ」
好き、って気持ちはそう簡単に抑えられるもんじゃない。
「翔ちゃんも大概優し過ぎだよね」
『あ、二人共揃ってたな。何の話?』
待ち合わせしていた場所に雪哉が現れ、俺は薫と顔を見合わせた。
「秘密だ」
「秘密です」
一瞬ショックとでも言いたげな表情をしたが、息ピッタリに言う俺達に流石双子、と笑っていた。
俺と薫の雪哉に対する好きは、多少は違うかもしれないけど。
雪哉の笑顔を見たいという気持ちは多分一緒なんだろうな。
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