ごった煮な部屋
拍手17(長編夢・ああ、そうでした/赤司)
きょろきょろと辺りを見回しながらも、誰かに話しかけようとしているのに、やめたり。
見れば観光客の迷い子のようだったが、煮え切らない態度に僕の方から話しかけた。
喋ることが出来ないのを知らなかったとはいえ、失礼なことを言った僕を雪哉は責めなかった。
何だかんだ気になってしまい少しだけ行動を共にしたら、テツヤの高校の同級生だったり、涼太に1on1で勝てる程バスケができることを知ったり。
「不思議な巡り合わせだな」
【確かに征十郎くんと敦くんに会えたのは奇跡だと思う】
京都と秋田にいる僕と敦に関しては、普通は狙ってでもない限り会うことはないだろう。
「僕が見つけられない人間がテツヤ以外にいたなんてね」
中学時代は、途中で転校してしまったから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが、何となく口惜しい。
【でも京都で見つけて、話しかけてくれたの嬉しかった】
喋ることが出来ない分なのか良くわからないけれど、雪哉はやたらストレートに伝えてくるから。
「そう...か」
この何とも言えない気持ちに名前をつけるのなら、多分。
「僕も雪哉に会えて嬉しかった」
同じようにストレートに伝えたら、彼は少し照れたように笑っていた。
うん、今はそれで良い。
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