ごった煮な部屋
拍手16(長編夢・ああ、そうでした/紫原)
まいう棒を当てているところを見かけて、ちょっと無理矢理貰おうとしたら顔面を掴まれた。
「あん時本当怖かったしー」
【ゴメン。でも敦くんも強引だったから】
「まぁね〜。ゴメーン」
ミドチン辺りにこんな謝り方するとめちゃくちゃ怒った顔するけど、目の前にいる雪哉ちんはただ笑うだけだった。
黒ちんのいる誠凛にいるらしいけど、中学は帝光にいたって聞いた。俺普通に見つけたけど、黒ちんと同じで影が薄いらしい。
「でもあんま影薄くなくない?」
ちょっと考えるような仕草をしてから、こう答えた。
【あの時は誰にも見つかりたくなかったのかも】
「誰にも?」
【多分誰とも話したくなかったんだろうな、って】
今こんなに普通に笑っているのに。何があったんだろう。
【いつか敦くんの名前ちゃんと呼べるといいなって思ってる】
「それって...昔は喋ること出来たの?」
こくっと頷かれた。
「絶対呼んでね!」
困る顔一つしないで、ただ笑っていた。
別に相変わらずバスケは好きじゃないけど、敦くん、なんて呼びながら雪哉ちんがバスケットボールを持っている姿を思い浮かべたら、何となくにやけてしまった。
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