ごった煮な部屋
拍手13(長編夢・ああ、そうでした/緑間)
黄瀬と1on1をしているところをたまたま見かけた。
背は黒子と大して変わらず、かと言って筋肉もそこまでついているようには見えない。黄瀬の圧勝だろう、と見ていたがその考えは覆された。容易に、ではなかったが確実に詰めてそして一気に決めていた。
瞬間、その眼を見たが柄にもなくゾクッとした。
冷静な顔をしていたかと思えばあんな熱い目をしていたなんて。まさか高尾と幼なじみだとは思わなかったが。
ただそれだけの興味だったが、たまに会えばスケッチブックやらに書きこんで会話をするくらいにはなった。
白戸は人をからかうのも好きなようで、そこはまあ高尾と似ているのかと思うが。
まだ自分の気持ちも分からない内に告白めいたことをしてしまったが、変わらず接してくる。
つん、と服の袖を引っ張られた。
「ああ...何だ」
【緑間くんおしるこ好きなんだ】
俺が手に持っていたおしるこの缶を指差していた。
「まぁ、そうだな」
【俺も好きだよ】
一瞬、その書いた紙を千切って欲しいと思ってしまったなんて、とてもではないが言えなかった。
「なら、やるのだよ」
自動販売機でもう1缶買って渡した。
キョトンとした顔を白戸がしていたので、この季節には普通は飲まないのかと思いやめようと思ったら、缶を受けとってくれた。
ありがとうと、そう口を動かして。
その笑顔を見て、あの時分からなかった自分の気持ちは結局確かなものになったのだと、そう感じた。
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