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短編夢
絶対教えない(高尾生誕記念/男主/受主)
「遊園地行こうぜ!」


帰宅途中に突然言われた。


『・・・え?高尾、今なんて言った?』

「だーかーらー、遊園地。」

『男2人で?虚しいだろ。』

「いいじゃん。俺たち付き合ってんだろ。」


手をキュッと握られた。


そう、俺たちは付き合っている。

夏の頃だけ俺はマネージャーの手伝いをしていた。

合宿中に吐いていた高尾を介抱した記憶はあるけど、それ以外特別何かしてあげたわけではなかった。

そして、秀徳が負けてインターハイが終わった時に告白された。

だけど、俺は意味が分からなくて。ただ、ゴメンと謝った。

高尾も、ゴメン、と謝ってから、友達ではいてくれるか?と聞いてきたので頷いた。

しかし、それから俺は凄まじく高尾を意識してしまって。

気付いたら避けるようになってしまった。

もちろん高尾は何で避けるんだと聞いてきて。

俺はつい、お前を意識してしまうとはっきり言ってしまった。


その後は結局、こういうことになったというわけで。



「な、いいだろ?」


『はいはい。でも今から行っても大して乗り物乗れない気がするけど。』

「いーのいーの。」

もう暗いから、と手まで繋いできて。

日の暮れが早くなった頃で良かった、なんて、大分俺も高尾が好きになってしまっている。



「ちっちぇ遊園地だけどさ、味があっていいだろ?」

連れてこられた遊園地は、絶叫系も一個か二個あるくらいの小さな遊園地。

観覧車だけは立派だったけど。



「まずは・・・コーヒーカップ。」

『絶叫系にするか。』

「分かってんじゃん。」


2人でにやにや笑いながら、コーヒーカップのハンドル部分を回しまくり、異様に回りまくるカップが完成した。

調子に乗り過ぎたせいで、2人して少し体調が悪くなった。

「次は何行く?」

『ゴーカート。』



「俺の隣に乗れよ。天国見せてやるよ。」



『気持ち悪いな。』


「ひっでぇ。」


まあ大人は一人乗りのカートなので隣に乗せることなんて出来ない。けど、隣を並走してきた。

「俺の運転テク!どうよ。」

『惚レチャウ〜』

「棒読み!」

ぎゃはははと笑う高尾。楽しそうで何より。



知ってか知らずなのか、今日は高尾の誕生日なわけで。

一応プレゼントも用意したんだけど、タイミング逃した。

帰り道に軽くハイッ、と渡す予定だった。


「んじゃ、大本命の観覧車乗るか!」


『男2人で観覧車は大分サムイけどな。』


「恋人同士なんだからいいだろー。」


『嫌なんて言ってないだろ。』


俺がそう言ったら、高尾は嬉しそうに笑った。


係りの人が物珍しそうな顔をしていたのは少し恥ずかしい感じもあったけど、まあいいか。


「結構楽しかったな〜。」

『確かに。』



「遊羽。」



急に名前で呼ばれてビクリとした。今まで名字呼びだったのに。


「今日俺の誕生日だって知ってたか?」


『・・・当たり前だろ。』


高尾は盛大にため息をついた。失礼なヤツだな。



「何だよ〜、何もないからてっきり忘れられたのかと思った。」


『帰り道で渡そうと思ったのに高尾が予想外なこと言うからタイミング逃したんだよ。はい。』


高尾から切り出してくれてある意味助かったけど。


「ありがとな。・・・マフラー?」

『寒くなってきたし・・・高尾に似合うかな、って思った。流石に既製品だけど。』


「毎日付ける。」

『やめろ恥ずかしい。』

「夏は家で巻いてる。」

『怖い。』

高尾がマジ顔過ぎて怖い。



「でも、すげぇ嬉しい。」



『なら良かった。誕生日おめでとう。』


後一ついい?と高尾が付け足した。


「俺のこと名前で呼んで欲しいなー、なんて。」

『高尾、の名前何だっけ?』


「人でなし!」


『嘘だって。和成。』

呼んでみたものの、これは恥ずかしい。


友達、じゃなくて恋人として名前呼ぶのって凄く照れる。


呼ばせたくせに、和成も真っ赤になるし。


こんな2人きりの空間で、本当やめろ。


「遊羽!」


『ちょ、外で盛るなこの馬鹿!』


いきなり立ちだして、迫ってくる和成。


「むしろ家だったらとっくに襲って」

『和成。』

「サーセン。でも頂上なら誰からも見えないから、いいだろ?」


断らせる気なんてないんだろ、と思いながら頷く俺がいた。


断る気もないけど、頂上が待ち遠しいなんて思ってる、なんて。


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あきゅろす。
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