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p.m.××! R16




「はぁ…ベッドとまたご対面だなんて嫌になる…」
「ベッドラブなんだろ良かったじゃねぇか」
「良くないね…!」

臨也をベッドに連れ戻し初期の体勢へと戻った二人。臨也が一切抵抗できない事をいいことに静雄が臨也の濡れたズボンを脱がし始めていた。臨也は未だに信じられないと困惑していたが、疲労困憊の体と心では既に言葉を放つのも一苦労だ。感情からかけ離れた言い方をすれば夢心地とでもいおうか。その為ただ自失し色々と諦めた瞳で静雄を見つめていた。静雄にしてみれば、蕩けた瞳で見つめてくる猫を目の前にして獣の理性が焼かれないはず無いのだが。

「ズボン脱がしたら尻尾取れるな…勿体ねぇ」
「なら脱がすな…!」
「まぁその猫耳のやつあるからいいか」
「話聞けよ…!」

ズボンと下着を脱がされた臨也だが、それについて羞恥は襲って来ない。シズちゃんに見られているという不快感はあったものの、この猫耳を付けた時の絶望感と比べれば幾らかまし…もとい麻痺していたおかげだった。猫耳に黒い七分袖インナーのみを着けているという何ともマニアックな格好にさせられた臨也は、徐々に危機感を募らせる。

「嘘だろシズちゃん、まさか最後までするつもり…?」
「当たり前だろ」

静雄はなんの躊躇いも無く臨也の孔に指を挿し入れた。その瞬間、臨也は意識が覚醒したかのように目を見開き体を跳ねさせる。嫌悪感に身を捩ったが、疲れた体ではろくに動けずただひくりと声を上げた。

「やめ、やっ…あ、やめ、ろ…ッせめて…シャワー浴びてから…!」
「あ?女々しい事言ってんじゃねぇよ」

ぐりりと指を奥にいれると掠れた痛みが臨也に走る。静雄はその表情に無意識的にふわりと笑った。指を引き抜き、静雄は洗面台に行くとアメニティグッズであるボディーローションを持ってきてあらぬ事か潤滑剤の代わりにする。臨也は逃げる間もなく、再びローション付きの指を窄まりに挿入された。

「っひ、くッ…ぁ、あ、…いった、あっ…!」
「痛いのか臨也?」
「いた…っぃ、よ…!」
「本当か?」
「……ッ」

臨也がかっと羞恥に頬を染め、静雄から顔を逸らす。静雄は鼻で笑った後臨也の耳元で一言、「淫乱」と告げた。これにはさすがに殺意が湧き立った臨也だったが、暴言は全て静雄に塞がれ飲み込まれる。

「んん、ふっ…ぁ、んっ…」
「っは、いい顔だな」
「顔だけは、っ…良いからねぇ…!」

既に3本の指で解されていた孔はまだきつそうであったが、それでも静雄は我慢できなくなり指を引き抜くとぐずぐずになった窄まりへ自身を宛がう。臨也が事を察し顔を引き攣らせて縋る様な瞳を静雄に向けるが、それさえ静雄を昂ぶらせる材料でしかない。

「あ、ぁあ、あっ」
「…く、…ッ」

熱い、というのが二人の第一感情だった。ただ熱い、繋がった部分が熱く、欲情も快楽も嫌悪感も煮え滾って、熱さに全てが溶けて交わる。そんな支離滅裂な感覚。臨也は喉から強制的に声を上げさせられ、静雄は食いつくように腰を進めた。

「ひぅあっ、アっ、シズちゃッ、んぁっア、ふっ」
「や、べぇ…っ」

臨也は恐らくその事実を意識外へと捨て去っているだろうが、静雄には常にその事実が襲っていた。猫耳カチューシャ、やはりそれは目に毒である。扇情的な意味で。しかも臨也は泣いていた。今日一日よく涙目になっていたのは知っていたが、泣きながら甲高い声を上げる様は静雄にとってどうもクる。

「あぅうっ、アっ、ひ、ぁっ」
「はっ、猫は猫らしく鳴いたらどうだ?」
「ックソが!ぁッ、死ねっ、しねッ、ぇあ、あっ、死ね…よっ、ひぁあっ」

喉から溢れる喘ぎを抑える余裕など今の臨也にはない。臨也は乱れながらもどこか遠い意識の中でどうにでもなーれという自棄に襲われていた。パークに来た時や猫耳をつけられた時、アトラクションに乗せられた時、そしてシズちゃんに会った時と同じ、死んだ魚の目になる感覚。やだな死んだ魚の目とか嫌いなのに、と未だに夢と現実の区別がつかない現状の中で臨也が笑った。

「あ、手前、何笑ってんだよっ…」
「いや、ぁなんかもっ、ンッ、どうでも、良く、なっ…はぁ、あっ」
「なら鳴けよ」
「…っはァ、あっ、ゃ、にゃっぁ」
「……ッ!」

思わぬ意外性サプライズ、認めたくないが可愛いと思ってしまった憎い相手のその言動。静雄には臨也が妖艶に見えた。何だコイツやっぱり淫乱じゃねぇか誘ってやがるのかと思っていた。臨也には静雄が馬鹿に見えた。何だコイツこんな事で顔真っ赤にして興奮してるよ変態だーと思っていた。

「シズちゃ、んァっ、ヘンタイ、だ、にゃっ」
「手前…ッ、馬鹿だろ、馬鹿だろ…!調子乗ってんじゃねぇ…!」
「っひゃ、ああぅッ、あっ、やッ、らぁ…く、ぁあっ」

臨也は決して調子になど乗っていなかった。むしろ自分で「ないわこれはないわ」と思い出して死にたくなるほどには投げやりになっていただけなのだ。しかし静雄にはめっきり効果抜群だったようで、臨也の中に挿していた自身を怒張させ、臨也の余裕を奪う為奥へ奥へと律動する。臨也に余裕などないのに本当に鬼である。

「あぁっ、激し、って、やだっあっ、ぁんんッ」
「クソが…ッ死ね…!」
「はっ、シズちゃんがっ、ぁあ、死、ねよ、もぉ…ッんん、はぁっ」

どちらも既に獣としての本能しか残っておらず、嫌悪と焦燥を交えながらただ目の前の快楽を追い求めていた。従順に、臨也が求めたように、静雄が望んだように、ただ人間らしい有様を。

「あうぅ、っあ、はぁア、んっ」
「くッ…ぁ…」
「や、だめ、シズちゃっぁ、ああああ――ッは、ァ…!」

背を仰け反らせて臨也が白濁を放つ。脳天から足の先まで走った電流に体をびくびくと跳ねさせれば、その反動で猫耳カチューシャが外れた。静雄も胎内の収縮に低く呻き、自身を引き抜けばそのまま白い飛沫を散らせる。臨也の顔面や黒いインナーにまで飛び、さながら顔射のような悲惨な状況になった。朦朧と揺れる意識の中でもそれを把握した臨也は、屈辱に静雄を睨み上げる。

「はぁっ、は…最っ低…!」
「…悪ぃ」
「あれ…偉く素直だね……はぁ、別にいいよもう…どうにでもなれ…」

また自棄に入りかけた臨也だったが、じーっと見つめてくる静雄の瞳に居心地が悪くなり眉根を寄せた。

「…何?」
「いや、猫耳がなくてもいけるな」

その一言が何を意味するのか静雄自身よりも先に理解した臨也は、途端に頬を真っ赤に染め上げその後顔を蒼褪めさせる。とんでもない芸当だが、言葉で表すとそんな感じなのだから仕方がない。

「シズちゃんそれはさ……いや、やっぱりいい」
「あ?何だよ気持ち悪いな」
「君の精液ぶっかけられた俺に言うのかい?」
「だからそれは…くそ、仕方ねぇな」

静雄は頭をかくと臨也を抱きかかえた。臨也は上ずった声を上げ驚いたが、抵抗する気力は勿論残っていない。

「ちょ、ちょっと、どこいくのさ…!?」
「そんな怯えんなよ、風呂だ」
「あ、お風呂か……風呂!?」
「だーかーらー、俺が手前を洗ってやるっつってんだよ、責任持ってな」

墓穴を掘ったのではないかと思った臨也だが、時すでに遅し。どこか意気揚々とした静雄になすすべなくバスルームへ連行されたのであった。その後また浴室で何ラウンドあったとか、動けない臨也に静雄が夜食を買ってきて一緒に食べた後、またまた長い夜に何ラウンドあったとか、全ては本人のみぞ知る。想像できるのは、ダブルベッドが一つしかないホテルの一室で臨也が涙目になっていたというぐらいだった。








バーテン服に金髪にグラサンの男と、猫耳尻尾を付けた黒髪青年のホモカップルがTDLでイチャイチャしていた、しかも泊まりで。
などというあられもない噂が東京中を駆け廻り、じきに池袋まで届く事になるとはその時臨也も静雄も想像すらできていなかった。
そしてその噂の9割が人伝に広まった時に誇張された根も葉もない事実で、1割がどうしようもない事実だという事は当人達しか知らない。



夢の国でかかった魔法は、そう簡単には解けないという事さ!










閉園...


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