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DT×DT〈後/来神静臨〉
〈一部臨也視点〉






優しくする、それは本当だった。
しかし、優しすぎるのも今の臨也には問題だ。

「シズちゃん、しつこ、いっ…て、ぁ、あ」
「慣らさねぇと痛いんだろ」

ぐちぐちと、骨張った静雄の指が臨也の孔で蠢く。既に指一本は容易に呑み込むようになっていたが、まだまだ余裕はなかった。しかし問題は静雄である。この怪物が、いつも殺し合いといえる喧嘩をしている犬猿の相手が、一番吐き気がするほど嫌っている臨也に優しくしているというどうしようもない事実だった。

「二本目」
「ひぅッ…あっ、は、はぁ」

二本目の指が挿入され、ひりりとした乾いた痛みが臨也に走った。自分の出した白濁が指を滑らす潤滑剤代りとは屈辱で、静雄の指が動く度嫌な水音が耳を劈くのに臨也は顔を顰める。静雄はと言えば、熱っぽい瞳で臨也の姿態を食い入るように見つめるばかりで。むしろ食われそうだ、いや、どのみち食われるのだが。獣なら獣らしく眼の前の獲物にがっつけばいいのに、そもそもシズちゃんは単細胞で単純で我慢が効かないのだから、こんな風に気を使わなくとも、ましてや優しくする義理などないのだからさっさと済ませばいいのにと、火照る思考で臨也は困惑していた。

「…死ね、はっ…あ、死ね」
「あんだと手前」
「っひ!いっ、奥、や、めぁ、ッんあ!?」

静雄がぐっと指を奥で折り曲げると、臨也がびくっと体をしならせた。その反応静雄は目を丸くしたが、それ以上に臨也自身驚愕している。

「へぇ、ここか」
「シズちゃ、やっ、あッ、ん、ぁ、あっ」

事の次第を把握し恥ずかしさが競り勝ってきた臨也だったが、静雄が弄ぶようにそこばかりを責め立ててくるので、ろくに睨んでやることすらできない。それが臨也のプライドを痛め、静雄への反感と嫌悪を募らせる。

「くっ、う、…は、…っ」
「何だよ臨也、声抑えんなって、誰も来ねぇよ」

誰が来るとか、ここが健全なる教育の場の教室だとか、この際もうどうでもいい。シズちゃんに良い思いなんぞさせてやらないと、臨也は反場自棄を起こし、声が漏れない様唇をきつく噛んだ。
そもそもこの俺の快感に濡れた声なんか聞いて楽しいだろうか、なんて思いながら臨也はひたすら恥辱と快感に耐える。しかし、目の前の怪物は明らかに切羽詰まっているであろうに、一向に先に進む気配が無かった。臨也自身もう限界であるからそろそろ終わらせたいというのに、これでは埒が明かない。けれど臨也に自分から進んで求めるなど出来るはずがなかった。そんな素直な事が出来ればこんな苦労しない。

「っ、く、もう、いいって…シズちゃ、っん!」
「あぁ?何がだよ」
「早くっ、しろよ、この童貞…!」
「それは手前もだろ、だからまだだめだ」

臨也なりに精一杯促してみるも、静雄は一向に次に進む気配がない。自分だけ二度目を吐き出すなんてごめんだと、臨也は涙目になった。しかしどうすればいいのだろうか、限界は近いし、意識は快感の波で朦朧とするし、息は上がるし、相手は大嫌いなシズちゃんだし、あぁ、もうだめだ。そう脳が判断して、臨也は腕を静雄の背に伸ばした。

「もうっ、いいから…早くシズちゃんの挿れてよ…ッ!」

そう告げた途端、臨也は糸が切れた様に泣き出した。さすがに静雄もそれには動揺を隠せない。

「い、臨也、」
「やだ、もう、何で挿れてくれないのさ、早くっ…シズちゃんの、欲しいのに…!お、俺じゃあ、満足っ、できないって、いうの?もっ、無理だよ、俺はっ、」
「あー、もういい、喋んな」

静雄にべろりと目を舐められて、ぞわりとした生温かい感覚が臨也の背中を駆けた。喋るなって事は、やっぱり嫌なのだろうか、なら初めから手を出したりしなければ良いのにと、臨也は悔しさに眉を寄せ、いつもみたく虚勢を張ろうとしたその瞬間、

「っあ、ぁ、ああッ…!?」

指が引き抜かれていた孔に、指とは質量も熱さも違う猛ったものが押し入ってきた。何が起こったのかわからず、口をぱくぱくとさせ必死に酸素を吸いこもうとする。が、静雄はそんな臨也にお構いなしに口づけてきた。

「っふ、ふ、ッ、んーっ」

窒息する。頭がくらくらする。

「ん、ふっ、…ッぷは、はぁっはっ、シズちゃっ、はぁっ、殺す気っ!?」
「煽ったお前が悪い」

そこでやっと、臨也は何が起きたのかを理解した。いつの間にか取り出されていた静雄の怒張した雄が既に胎内に挿入されていた。痛みはあったのだろうが、自分が混乱していたので臨也は気付かなかったようだ。

「ひァッ、うそっ、あッ、入って…っ!」

臨也にじわじわと痛みが溢れてくるが、静雄が無理に動こうとしないのと、馬鹿みたいにしつこく慣らしてくれていたおかげで血が出る事はなかった。くっと静雄が息を詰める。シズちゃんも辛いのかと、臨也は静雄の背中に腕を回しぎゅっと抱きしめた。

「いいよっ、動きな、よっ…!」
「でも、辛いだろ」
「ドーテ―は…ッ、童貞…らしく、もっとがっついたら…?」

口元を吊りあげて妖艶に笑う臨也は、静雄の熱を煽るだけだった。中で大きくした静雄に、臨也は笑ってやろうと思ったが、自分自身も喘ぎが漏れて静雄に笑われる。

「余裕、そうだな臨也君よぉ」
「はっあっ、あ、やっ、シ、ズ、ちゃッ…!」
「手前も、童貞なのによ?」

ぐぐ、と押し入ってきた静雄の熱に圧倒され、臨也は目が眩む。太陽の光は濃い、もうそろそろ夕暮れが迫っているのだと遠い意識で確認する。しかし静雄の猛りが胎内のある一点を突き、神経に甘い電流が走った感覚で臨也は現実に引き戻された。

「あぁあっ、はァ、あ…ッ!」

徐々に律動を開始されれば、臨也の媚声は一際高くなった。荒い息が交わり合いある意味殺し合いの喧嘩をしている時の様な臨場感が生まれる。静雄は臨也が少しでも辛くない様に臨也のものを扱き上げた。先端からは前立腺を突かれる度先走りが溢れ、静雄の指を濡らす。

「あっあッ、やぁあ、うぅーっ、シズちゃッ、や、らっ、んんッ」
「嫌、じゃ、ねぇだろ…っ」
「ンあっ、もッ、むりっ、い、っはあ…ッ」

声は出さないなどと虚勢を張っていたのに、もう呂律さえも回らず艶やかに喘ぐ臨也は、ただただ静雄に翻弄されていた。既にがつがつと腰を進められ激しい挿入が繰り返されている。静雄も限界が近いのか、眉根を寄せて臨也に食らいついていた。

「あっシズちゃんッ、ンんっ、ひぁっ」
「くっ…中で、出すぞ…!」
「えッ、やめ、やだッ、あっぁ、うそ、ッだろ!」
「勿体、ぶんなって、なぁ臨也…!」
「くそっ、ぁあッ、死ね、ッひぁン!」

自分がもし今シズちゃんの背中に手を回していなければ、確実にナイフを翳していただろうなと、揺れる太陽光に目を細めながら臨也は思考する。静雄はすでに何故というのは切り捨て、ただ目の前で乱れる臨也を眺めていた。いつも自分を苛立たせる声色が扇情的な喘ぎを発する、いつも自分から飄々と逃げおおせる体が自分の手の内にある。それら全て、静雄自身を昂ぶらせる要素でしかない。
追い打ちおかけ、熱に浮かされる臨也を責め立ててやれば、

「っあぁああ―、ッ!!」

びくびくと内腿を痙攣させ、快感が電流として神経を駆け抜け白い飛沫を放った。その衝撃と胎内の収縮に中にあった静雄の雄も促され、息を詰めて臨也の中に熱い白濁を吐き出す。二人の荒い息が淡い太陽光差し込む教室内を支配していた。
どれだけ時間が立っただろうか、呼吸を整えた静雄が臨也の胎内から自身を取り出せば、泣き腫らした瞳で睨んでくる臨也と目が合った。

「まじで…中で出しやがって…!」

孔から白濁がどろりと溢れ出る感覚に臨也が悪態をつく。未だに胸を上下させながら荒い呼吸を吐く、頬を真っ赤に染め涙目で睨み上げる、色づき自身の白濁が散る壊れそうな肢体、太陽の光に照らし出される臨也。そう、それら全ては、

「…臨也」
「何、死ぬの?はっ…もう、死ねよシズちゃん」
「もう一回するぞ」

夕焼けの濃い太陽光に照らされた静雄は、やけに、しなやかで雄々しい表情をしていた。死刑宣告にも等しいその言葉に臨也の血の気は引いていく。




あぁだから、俺はシズちゃんを嫌いになったんだよ!








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