短編集 その@
待受画面(白石蔵ノ介)
東京と大阪は遠いわ。
奏は大丈夫やろか。
不安は尽きない。
合宿で、事も有ろうか、奏荼に一目惚れ。
押して押して押しまくって、彼氏になった。
けれど、奏荼を狙っている男は数知れず。
俺が側に居らんからって、云い寄る男は必ず居る。
どないしよう。
そんな中に鳴った、着信音。
ディスプレイに出るのは、
"桜井奏荼"
蔵ノ介は、慌てて通話ボタンを押した。
『あ…あの、奏荼ですが…』
少し戸惑った様な声音。
「どないしたん?」
もっと、マシな言葉があるやろ。
こんな言葉やなくて。
『えと…その…』
「…奏?」
『…用事をなさっていたのではありませんか?』
「ううん。何にもしてへん」
すると、ほっ、と、小さな安堵の吐息が聴こえた。
『………』
「………」
お互いに、何を話したら良いのか、判らない。
沈黙が、続く。
「奏。何かあったん?」
『…いえ…あの、突然電話して、ごめんなさい。ご迷惑…ですよね』
「迷惑ちゃうし、謝らんでええよ」
『良かった。あの、ただ…』
「ただ?」
『逢いたい…と、思ったら、その…声が、聞きたくなってしまって…』
「!」
『…すみません…用もないのに…』
「かまへん。俺も…奏の声、聞きたかったし…。そっちは、どないや?」
『ええ。普段通りです。あの、忍足さんに、"ありがとう"と、伝えて頂けますか?』
何でケンヤやねん。
聞こうとすると、後ろから、
『白石さんと電話?』
『はい』
『ちゃんと、待受にしてるって云うのよ〜』
『悠ちゃんっ!!』
そう云えば、ケンヤに云われたなぁ。
写メ取るからて。
まさか…。
「…待受って、もしかして?」
『…はい』
『待受画面の白石さん見て、ニヤニヤしてんだから。愛されてるぅ』
良かった。
奏荼は、離れていても、ちゃんと、好きでいてくれてる。
ケド、ケンヤには伝えへんで?
俺の許可なく、他の男から写メ貰たんやから。
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あとがき
短編は難しい…orz
白石×奏荼でした
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