短編集 そのA
いたずら (白髭海賊団)
シャナメルに見た目そっくりな、娘が居た。
『ホント、鏡を見ているみたい』
「ここまでそっくりだと、気味が悪いわよね」
コクコク、と、頷き合う二人。
その場に居たサッチ、ハルタ、ラクヨウは、何かを思い付いたのか、にやり、と笑う。
「おれらでも見分けつかねェけどよ、エースはどうなんだ?」
「エース?」
きょとん、とした眼差しでサッチを見る娘、ソフィア。
「シャナメルの旦那だよ」
『見分け付くと思うよ。かくれんぼしててもすぐに見つかるし……』
「「「それは、シャナ(メルちゃん)が隠れるのが下手だから」」」
『はぅ!Σ(×_×;)!』
「面白そうね。やってみるわ(^^)」
四人は、どうやれば良いか、円陣を組んで話し合う。
『………止めといた方が良いと思うよ(--;)』
「大丈夫、大丈夫」
『機嫌、悪くなっちゃう』
「シャナがエースの機嫌を取れば良いんだって(^-^)v」
『やっぱり……!Σ( ̄□ ̄;)』
シャナメルは盛大な溜息を吐きながら、ズキズキ、と痛くなる頭を押さえた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
モビーディック号にやって来た四人。
シャナメルは、
『ボク、買い物があるから一緒には戻れないの。けど……ほどほどにしておいてね。ボクのエースくん、拗ねたらかわいいけど、機嫌戻すの、大変なんだから』
そう言って、四人とは別れた。
「良し!!やるか」
「見分け付かなかったら笑えるよな」
「あれだけ、シャナ、シャナ騒いでるんだ。付くだろ」
クツクツ、と喉奥で笑いながら、四人は船内へ入っていく。
すると、エースはキョロキョロ、と、辺りを窺っていた。
どうやら、シャナメルを探している様である。
「お、サッチ」
「よう、エース」
「メル、見なかったか?」
「シャナならそこに居るぜ」
くい、と親指で指せば、ひょこ、と覗き込んでくるソフィア。
「…………」
「買い物は済んだのか?」
コクコク、と頷くソフィア。
それもその筈。
シャナメルとソフィアの違いは声。
声を聞いてしまえば、一瞬でバレてしまう。
それを避ける為、一言も喋らず、ジェスチャーで伝えるようにしたのだ。
「……メル?」
そっ、とソフィアの頬に触れる。
かぁ、とソフィアの頬が赤く染まる。
すると、エースの表情が変わる。
「ーーーー……メルはどこ行った?」
「目の前にーーー……」
「コイツ、メルじゃねェ」
「何云ってンだよ。メルちゃんでしょ」
「……別人連れて来てどうすンだよ!!」
ワイワイ、と騒ぐエース達。
すると、イゾウ、マルコ、ジョズが顔を見せる。
「なーに騒いでるンだよぃ」
「シャナ、どうした?」
「エースがシャナじゃねェって騒いでンだよ」
「どうしたよぃ、エース」
「……そいつはメルじゃねェ」
「喧嘩でもしたかぁ?」
どうやら、ソフィアをシャナメルと思い込んでいる三人は、
「喧嘩の原因はなんだ?」
「エース、そんな云い方はねェだろぃ」
「可哀想に」
と、騙されていた。
すると、
『ただいまぁ。はー、重かった。エースくーん』
シャナメルご帰還、である。
本物の登場に、マルコ・イゾウ・ジョズは、シャナメルとソフィアを交互に見る。
「シャナが二人!!!!(゜ロ゜ノ)ノ」
「お帰り」
『ただいま(*^^*)』
そ、とシャナメルの頬に触れる。
すると、すり、と掌に擦り寄るシャナメルに、エースは満足そうに微笑んだ。
『もういたずらは終わったの?』
「いたずら???」
『うん。ボクとそっくりな人が居てね、サッチ隊長達がエースくんがボクかどうか判るかやるって……。でも、その状態じゃダメだったみたいね(^-^;』
「サッチーーーーー!!!(# ゜Д゜)」
「エースはダメだったが、マルコ達は騙せたって!!」
「おれが見分けつかねェ筈ねェだろ」
『……(*^^*)』
その言葉に、シャナメルは嬉しそうに笑うと、エースに抱き付き、その胸に擦り寄る。
エースは、ちゃっかりとシャナメルの腰を抱いていた。
[あのクセがなけりゃ、騙されてたな(--;)]
流石のエースも若干の違和感を感じて居たが、偽者とは思ってなかった。
だが、頬に触れた瞬間、あるクセがなかった。
それ故、シャナメルじゃない、と言う事が判ったのだ。
「これだけそっくりなのになぁ」
「悪かったな、ウチのバカどもが……」
「良いのよ。でも、頬に触れただけで判るなんて……驚いたわ」
「見た目はメルだけどよ、何て云ったら良いかな……どっかが違うンだよ」
『……(*^^*)』
シャナメルは相変わらず、エースの腕の中で機嫌良く笑っている。
その横では、サッチ、ハルタ、ラクヨウはマルコの説教を受けていた。
「お前らの飯は抜き、明日朝イチから食堂と甲板の掃除だよぃ」
「「「えー!!!横暴だ!!!」」」
「煩ェよぃ!!!(# ゜Д゜)」
エースへの些細ないたずらは高くついたようだ。
エースは、シャナメルを腕に抱きながら、満足そうに微笑んだのだった。
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あとがき
騙されたマルコが逆ギレ。
2017.02.28
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