消えない虹の向こう側へ
不機嫌な部長クン
「………部長クン、そんなに怒らなくても良いじゃないか」

迎えに来たリムジンの中で、奏荼は景吾を見る。
しかし、景吾は無言のまま。

「徳光クンとは従兄だし、それ以上でもそれ以下でもないんだよ。キリンクンからも、何とか云ってくれないかい?」
「………ウス」
「う〜…キリンクンまで」

しょんぼり、とした表情は、まるで叱られた仔犬の様。

「奏荼」
「何だい?部長クン」
「お前、テニス部のマネージャーやれ」
「やなこった」
「………ウス」
「キリンクンのお願いでもダメ」
「ーーーー…仕方ねぇ。樺地1日独占権をやる」
「ーーーー…う」

ピクリ、と反応を示す奏荼。
その反応を見逃さない。
もう少しで、奏荼が靡きそうだ。

「テニス部は部員数が多い。お前の趣味、人間観察が出来るぜ」
「人間観察とキリンクン、独占権………」

グラグラ、奏荼の心は揺れる。

「他校生とも逢うからな。様々な人間と逢えるぜ?」

グラグラ、大きく揺れるものの、非公認のファンクラブの嫌がらせに耐えられる自信はなかった。
奏荼はやられたらやり返せ、をモットーとしている。
もし、嫌がらせが続いたら、大騒ぎを起こしてしまうかも知れない。

「とっても魅力的だが、遠慮しておく」

奏荼なりの答え。
だが、景吾の機嫌がますます悪くなったのは云うまでもなかった。




「絶対に諦めねェ」
「部長クンは粘着型だったのかい?」
「……お前な…💢💢💢」
「キリンクンーーーーo(T□T)o」


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