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サイレントガール
立ち向かう勇気



はじめて、人が憎いと思った。


“女って面倒くさい。”



よくお昼に岳人先輩がそう言ってた。

でも、けーご先輩は何にも思っていないみたいで。
ううん、声に出してないだけなのかもしれないけれど、

感性は人それぞれとは思っていたけど…ここまで来ると、嫌になってしまった。




始まりは、下駄箱に入ってたお手紙。

なんだろうって思って、開いてみたら何の感情も含まれてない一文。



“昼休み 体育館裏に来なさい”



しかも命令形。



……なんなの?
それが人を呼び出す態度?



むしゃくしゃして、私はその紙をビリビリに破いてゴミ箱に捨てた。
ゴミ箱の蓋がカランカラン、音を鳴らしていて酷く耳に響いていた気がする。




お昼になると、絶対に迎えに来てくれるチョタとピヨ。

今まではどっちかが交互に来てくれてたんだけど、今は2人で来てくれる。


すごく嬉しい。



そして今日も…




「奏ちゃん、おまたせ」

「早くいくぞ」




2人がドアの前で声をかけてくれる。

ニコリ、笑ったまま2人の前に着くと弁当を渡した。



「え、どうしたの?」


『用事!間に合ったらすぐに行くから先に行っててくれる?』



「うん、わかった。」

「…早くしろ」




ばいばい、と手を振って屋上に向かっていくのを見送る。

2人に言うことでもないしね。



さて、行くか。





そのまま教室を出て、体育館裏に向かった。

昼間なのに陰で暗い体育館裏は少し不気味。

そこで3人の女子生徒…たぶん、3年の先輩…。
凄い形相で私を睨んでいた。




「おっそーい!」

「ったく、何時まで待たせる気?」




時間、書いてなかったくせに。




「ねぇ、さっさと終わらせてお昼食べよ?こんなのに時間とられてお昼食べる時間なくなるなんて嫌だし。」




それは私も同感です。


それよりも…あなた方香水臭いですよ?

厚化粧だし。




「じゃあ、さっそく。」

「あのさー、はっきり言わせてもらうけどテニス部の人たちに近づかないでくれる?」

「そうそう。アンタがいるとテニス部が汚れるわ?」




クスクス、うるさい人たちだなぁ…



「ねぇ、なんとか言ったら?」



バチン!




『……っ』




痛い……




「鳳君もなんでこんな普通の子気になってんのかしら。」

「若くんもねー。」

「こんな子が気にかかるなんて変わり者だよねー。どこがいいのかしら」



変わり者…?



「別に私は2人よりも跡部様だけどさー…鳳くん、ちょっとヘラヘラしてるって言うか。」

「若君はかっこいいんだけど生意気だし。」




私の悪口ならともかく、2人の悪口は許さない。

煩わしい声。


何が、キャハハ?

大事な友達の悪口を言われて黙ってる私じゃない。




パシン、



3人のうち、一人の頬を叩いた。もちろん、後悔なんてしない。

だって悔しいから。



「っ、いったーーい!!何すんのよ!!」



少し、震えちゃう。

はじめて人を叩いてしまった。

でも、本当に許せないから。


私をちゃんと見てくれる、大切な友達だから…!



「何すんのよ!」

「サイッテー!!」



サイテーなのは、どっちなの!!

謝れ、とか言っているけど、絶対に謝らない。

私は間違ったことはしていないはずだから。



髪を引っ張られて

思いっきり壁に背を押しつけられた。


ヒリヒリ痛くて、髪も抜けるんじゃないかな、とか思ったけれど。




罵声とともに私のお腹を蹴ってくる。

時間感覚、わからない。

今、何時なんだろう…なんて、冷静すぎる私の頭はどうかしているのかな…。


とにかく、気が済むまで蹴り続けられて。

胃液を吐き出してしまった。




「うっわ、汚…っ」



何も、食べてなくてよかった…




「もう行こう?」

「そうだね。じゃあ、ウチら行くけど、もうテニス部には近づかないでね」

「私たちのことをチクッたらただじゃおかないから。」




もう、たたじゃないし。
誰にチクッちゃダメなの?


大好きなテニス部?先生?

両方だろうけど…



ああ……やばい、立てないや。



少し休憩してから屋上に行こう。

これじゃ、みんなに心配かけちゃうし…




でも、先輩だったみたいだけど…叩いて良かった。


……すごく怖かったけど。



私よりも、2人を貶す方が許さないから。




何も言わない彼女はツバキを胸に


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110124

椿…意味は、誇り



あきゅろす。
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