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サイレントガール
ストロベリーキャンドル






だれって…え?


言っちゃあ何だけど。
テニス部を知らない人はいないと思ってた……。




「誰って……」

「鳳。この人…」

「え、知ってる人?」

「…はぁ、そうじゃなくて。……しゃべれないんじゃないか?」





日吉の言葉に、何かが静止した。

よく、言っている意味がわからなくて…
頭の中で反芻して。



「話せないん、ですか?」




ゆっくり問うと、頷いていた。

氷帝にこのような人がいるとは知らなかったな。




ぱたぱた、



その子は手を振って俺の様子を伺いながらもう一度画面を見せてくる。


ああ、名前を聞いてるのかな…?


「…えと、2年のテニス部、鳳長太郎って言います。」

「日吉若。同じ部活だ」




携帯をもう一度自分で打ちなおし始めた。





――2年、雪野奏です。

私をみて気持ち悪くないんですか?――




慣れているんだろうね、メール打つの本当に早い。

周りの人も打つの早いけど、多分この子の場合は日常で必要としているから…だから早いのかな。



「…え、なんで?」





――私、こんなんですよ?――





「関係ない」

「うん。日吉の言うとおり、関係ないですよ!」





すっごく、目を丸くして。


急いでメールに打ち込んでいる姿がかわいらしい…




――ありがとう――




たった5文字。

しかも絵文字とか顔文字が一切ない。それでも、すごく気持ちが伝わってきた気がした。



「屋上は男子テニス部がよく使う。あまり来ない方が良い。」

「日吉っ、そんな言い方…」

「事実だ」



そうだけど…。
跡部さんに見つかったら凄いことになりそうだな。

あの人、周りを纏めているけど、ミーハーな女の子のことすっごく嫌がってたしな…。



――そうですか――


わかりました。
そんな言葉を見せてきて、スクリと立ち上がった。


屋上の扉の前でペコリと頭を下げ、去っていった。




ストロベリーキャンドル
(素朴な可愛らしさ)



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090923



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