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サイレントガール
彼女はイカリソウを手にした




彼女と出会ったのは、本当に偶然。

追っかけの女の子たちから日吉と2人で逃げていた時だった。





「ったく…本当、毎日飽きないもんだ。女ってものは。」

「はぁ…っ、でも、女の子に言っても聞かないだろうしね…」






この学校は広いから、隠れればなかなか見つけにくい…と思う。


テニス部だけが屋上の鍵を持っているから、そこに逃げ込んでしまおう。そう思って屋上に逃げていった。

少しだけあいている屋上の扉。

急いでいたから、深く考えないで2人が屋上についたらすぐに閉めた。



「……ふー…」

「疲れた……」





ずるずるとしゃがみこんで、空を見上げた。

まだ校舎の方から女の子の声が響き渡っている。


気づかれる前に鍵を閉めて、侵入を防いで。




「……あれ。」

「……?」




俺達の視線の先にいる、女の子に思わず声をあげてしまった。

だって、ここは俺たち以外入れないは、ず……



っ!!



気づけば、屋上が開いていた。
推測すれば、安易に予測できたことだ。


女の子はこっちを向いていて。



ヤバイ。



そう思った。






でも、他の子とは全然違ってて、近づいて来ようとしない。

それどころか、無視してできるだけ俺達から遠いところへ移動していった。



次第に、俺達から見えない場所に隠れるように消えていく。





「…え?」

「……」




日吉にも、疑問らしい。



まぁ、いいか。


なんて思いながら走って汗かいたからそこで涼むことになって。



しーん、、、としてきた





「やっと、静かになってきたね…」

「……はぁ」





眉間に皺が寄ってるよ?日吉。

でも、部活以外で走らされるなんて思ってもいなかったな……





「そういえば、女の子どうする?」

「ほっとけ」

「クスッ そう言うわけにはいかないよ。屋上閉めておかないといけないし……」





あ、すっごく面倒くさそうな顔。

俺と日吉は重い腰を持ち上げて、女の子がいるであろう場所に足を運んだ。

太陽を背に、歩いていく。

陰のところにいると思うんだよね。




ミーハーな子ではないと思う。

そうじゃなきゃ、俺達を無視しないだろうし…



ひょこり、顔を覗かせてみるけど。






「……あれ?」





居なかった。

おかしいな…ここにいると思ったんだけど…




「……あ。」

「え?どうした…あ!」




建物の影とは異なる、はみ出した影。

多分、女の子はそこにいるんだろう。




ジッとして動く様子もない影に笑みをこぼしながら近づいた。


ゆっくりと覗くと、下を向いている女の子。


やっぱり。





「どうしかしましたか?」

「!?」





バッと顔をあげて俺を見た。

スッと立ち上がって、俺達から距離をとる。


他の女の子とは違った反応で、少し新鮮だ。





「もしかして、体調悪いんですか?」




彼女は、ゆっくりと首を横に振った。

ごそごそと制服を探り出して、何を出すかと思ったら携帯。





「………」






何か打ち込んでいるようで、すぐに俺に画面を見せてきた。






―あなた、だれですか?―




イカリソウ
(人生の出発)



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090908



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