幸せ音色 詐欺師、惚気る カシャン... 「…はぁ、仁王君」 「……すまん」 今日の授業も全て終わって、部活の途中。 遥が立海に来てまだ間もない。 柳生に相手をしてもらっとるんじゃけど、イライラが増して集中できん。 ボールは何かとロブになることが多いし、スマッシュもなかなか良いように打てんし、いつの間にか後ろに転がっていた。 「仁王君。どうかしましたか?」 「休憩するぜよ」 柳生も休憩しに来る。 世話焼きさんじゃからのぅ…。いろいろ聞いてくる。 「今日は不機嫌ですね、何かありましたか?」 「なにか……あったのぅ」 「(まさか櫻井さんと喧嘩したのでは…!!?)」 あ、柳生が何を考えているか分かったぜよ。 表情がそう言いたそうじゃし…。 喧嘩とか別れたとかじゃないナリ。 「今日、遥に会ってないんじゃ」 「………………は?」 「じゃから、今日は遥に一瞬でも会ってないんじゃ」 「えっと……それは「避けられてるとかッスか!?」 俺にもチャンス到来!? と言い出す赤也にムカついて、頬を抓って引っ張った。 痛がる赤也を無視してゴムのように引っ張って遊ぶ。 「いひゃいいひゃい!いひゃいっひひょー!!」 「何を言っとるのかわからんぜよ」 「コラ仁王君!手を離してあげなさい!!仁王君で遊んじゃだめですよ!?」 仕方なく赤也の頬を離して柳生のユニフォームで手を拭いてからポケットに手を突っ込んだ。 柳生がおこっとるけど、気にせん。 「聞いてるんですか?仁王君!」 「聞こえんぜよー」 「いい年こいて!子供ですかアナタは!!」 「しつこいぜよ、やーぎゅ」 耳を両手でふさいでコートに戻る。 そろそろ怒鳴り声が飛んできそうじゃ… それでもぐちぐち言いながら後ろから来る柳生。 溜息を零しながら視線を柳生から前に向けたとき、丁度怒りんぼの真田が赤也の方へ歩き出していた。 思わず足を止めてしまう。 「やぎゅ、耳ふさぎんしゃい」 丁度すれ違う時に声を上げそうじゃ。 案の定、通過した途端 「いつまで休憩している気だ、赤也!!」 「なんで俺ばっか…」 「聞こえてるぞ!!赤也ぁぁぁぁ!!!」 「ひぃぃぃ!!!すいませーーん!!!」 [→] |