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Borderline
踏み出す一歩


「そんなこと言わないでよ、朔弥ちゃん」






突然、そんな声が聞こえた。

思わず会議室のドアに視線を向けると、ここにはいるはずもない人の姿。

なんでココにいるのか、わからない。







「…ツナ………」







スーツを纏っているところからすると、多分、9代目かその幹部辺りに会っていたのかもしれない。

後には隼人が控えていて、ただ何も言わずに見ているだけだった。


ツナはにっこり、笑顔を私に向けた後、レギュラーに視線を移して頭を下げた。






「突然お邪魔してごめんなさい。並盛で朔弥ちゃんと仲良くしてる沢田綱吉って言います。後ろは獄寺隼人。
朔弥ちゃんの今回の件で、…日吉君から連絡があったので急いで来たんだ。」

「はじめまして。テニス部の部長をしている幸村精市。ここにいるのは全員レギュラーだよ。で、何の用かな」

「朔弥ちゃんに一言言いに、ね。」




そして私に近づいて、耳元で私だけにしか聞こえないほど小さな声で囁いた。





「9代目がこの人たちの安全は確保するから羽を伸ばしなさいって。俺も、京子ちゃん達に全て話すよ」





ふんわりと笑うツナ。





「……ありがとう」





今はマフィアのことなんて言えない。

でも、距離を置くことはないってことを言っているのかもしれない。









「幸村さんたちは、朔弥ちゃんを裏切らない?」

「当たり前でしょ」

「当然のことだ」

「うむ」

「もちろん、だな」

「当たり前だろぃ」

「はい」

「プリッ」

「当たり前っす!」






全員が同意を示し、強い眼差しでツナを見ていた。

あとは、私次第だと、ツナの眼が言っているようで。





「そろそろ時間です…」

「あ、ごめん獄寺君」

「…?何かあるの?」

「ん?ミーティング抜けてきたから…ι」




それは、ボンゴレの会議、じゃないのか?

幹部とかが集まる重要なやつが近日行われるって聞いてたけど…。

まさかそれを抜けてきたというのだろうか…。




「大丈夫、お願いしてきたよ?骸に」

「……そう」



ツナに化けた骸が会議に出ている…。

いくらツナの頼みとはいえ、マフィア嫌いな骸に長時間居させるのはよくないだろうに。





「じゃあ、俺はもう行かなきゃだけど……」

「……ん?」

「いい、仲間だね」




ニコリ、微笑んでツナは去っていった。

隼人もじっとこっちを見てから、素っ気なく「じゃあな」と言ってツナの後に続いて帰っていく。



“いい、仲間だね”



ツナの言葉に、何故か温かさを感じた。

何を言われてもどうとも思わなかったのに。


振り返ってみると、呆然とした表情を見せているレギュラー。

少し可笑しかった。











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