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Borderline
初めてだらけの日常





授業はやっぱり簡単なものだった。

一連の勉学は学んでいるし、苦はないけど退屈だ。




――初めてだらけの日常――




お昼、か…。

久しぶりな気がする。

兄さんと食べないお昼は。




「ねえ雲雀さん!」

「?」

「よかったら私たちと食べない?」


「別に、いいけど。」

「それは良いよーって意味でとらえるから良いよね!答えは聞いてなーい」

「はぁ…強引な奴でごめんね?」


「平気。」




私の腕を掴んで前を進んでいく人と、隣を歩いてくれる人。

本当に、ここは『普通』の学校らしい。

誰か気配に敏感な人なんていない。

逆に、気配を消す人も、警戒する人も、誰もいない。






「……(明日から、ワイヤーは家に置いて来よう…)」






到着したのは食堂の窓側の席。

ふと、視線を外に向けると屋上に影があった。



目を細めて見てみると、太陽に反射してキラキラ光っている銀髪。

たしか、隣の席にいた人も、銀髪。




「どうしたの?外をまじまじと見ちゃってー」

「何かあった?」

「……いや」




2人は腰をおろして私を見上げていた。

腰をおろして弁当を広げる。




「うわー…雲雀さんの弁当美味しそう〜」

「ほんとだ。自分でつくったの?」

「……うん」



そういう2人の弁当も、良さそうだ。




「あ、雲雀さんまだ私たちの名前知らないよね!?
私は木下里緒!里緒って呼んで!!」

「私は檜山優希。好きに呼んでいいから。」

「……よろしく」

「ほらほら、ここは雲雀さんも自己紹介!!」

「……雲雀、朔弥です。」




久しぶりに自己紹介をした気がする。

なんだか、恥ずかしい気がするのは、気のせいだと思う。




「じゃあ、朔弥だねー」

「私も、朔弥って呼ばせてもらうよ」

「だから、朔弥も私たちのこと里緒、優希って呼ぶこと!さー言ってみよう!」

「……、里緒。」

「はーい。よろしく、朔弥!!」

「ゆ、優希…」

「うん、よろしくね朔弥」



勝手な人たち。

特に、里緒…は警戒心がなさすぎる。


でも…久しぶりに感じる。




「あはっ♪朔弥ってば何照れてんの〜?」

「少し顔が赤いよ?」

「…うるさい」


恥ずかしい。

顔を反らして、右手で顔を隠す。



「朔弥ってツンデレーv」

「ツン…?」

「いいの、コイツ、たまに変な発言するけどスルーしていいから。」

「ヒド!!優希ってヒド!!」

「ハイハイ。さて、食べようか朔弥」



こくん



里緒は優希に文句を言っているが、優希は気にせずに食べている。

普通はこういう風なものなのかな。



初めて、こんな風に昼を食べた。


初めて、初対面の人と警戒しないで食事をした。





09.02.21


あきゅろす。
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