Borderline
浴びるものは。2
「ぶっざまー!!無口で無愛想な上にノロマなのね!これで男テニに寄り付いているなんてありえなぁい!!」
「さっさとマネやめてくれなーい?アンタのせいで皆迷惑してんのよ」
「マネになれたからって調子乗ってんじゃないわよ!ブスのくせにさ。しかも今まで色々したのに軽々しく避けるし、すました顔しててさぁー。反応見れなくてつまんないんだよねー」
あぁ。
今まであった数々の変なモノはこの人たちのものか。
どうりで幼稚なイタズラだと思った。
いちいち反応してられないし、無視してきたけど……
「……ねぇ、覚悟はいい?」
「はぁ?」
「何言ってんの?アンタ」
「それはこっちのセリフ!!」
スチャ…
トンファーを取り出して、出てきた女子に向かってふるった。
ひとり、腹を殴り。
最後に大口叩いていたヤツを、壁に叩きつけた。
手に持っているトンファーをそいつの首に当てて、睨みつける。
「こんな幼稚な遊びに付き合っている暇はないんだけど」
貰った黒い手紙を見せつける。
それも見ずに目を丸くして、少し涙を浮かべている。
口を開けたまま、何も言わずに…。
最後、何もしていないヤツは何が起こったのかわからないような顔。
「……ちょ、離してやりなさいよ!!」
ヒュッ…
我を取り戻したのか、声を荒げながら近づいてくるそれに、もう片方のトンファーでそいつの咽喉につきつける。
カタカタ震えている。
殺気は、少ししか出していないはず。
表の人間だから、本気を出していけないのは十分わかっている。
だから、理性をとどめて。
「まだやる気?
怪我しても、知らないよ?」
細めている目を、更に細める。
トンファーをおろして、くるくる回しながらしまう。
びりびりに破った、手紙。
「行きなよ。それとも、相手になる?」
「……っ」
3人は私に背を向けて去っていった。
上にいた2人の気配もなくなっている。
それにしても、結構濡れてしまった。
髪も服もびっちょりに濡れていて、ポタポタ滴が落ちていく。
「……、…出てきなよ、仁王」
体育館の角に隠れていた仁王がゆっくりと出てきた。
視線を向けると、険しい顔をしている。
まだ制服を着ているところからみると、まだ部活には行っていないのだろう。
「何か用?」
「いつからじゃ?」
「……」
「いじめ、いつからやられとう?」
「関係ない。」
「あいつ等はファンクラブの奴らじゃ。関係ないわけなか。」
仁王が近付いてきて、私の肩をつかんだ。
「なんで、教えてくれんかった…。言ってくれたら、助けたぜよ…」
「……」
「気付かんで、わるかったのぅ…?」
ひどく悲しそうな声で私の頭を撫でてくれた。
そっと抱きしめてくれた仁王が暖かくて、振り払えなかった。
NEXT...
090405
←
無料HPエムペ!